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【著作権なんか怖かねぇ!】DJが知っておくべきJASRACの申請について

どうも、アヘバス管理人です。

今回はDJの天敵(?)JASRACへの申請について。

人間はよくわからないものに恐怖を覚えるものです。

ケータイの料金プラン、見てもないアダルトサイトの請求、そして、著作権料です。

しかし、これら全ては知っていれば対処ができる!と言う事で、パーティーオーガナイザーなら知っておくべき著作権料の支払いと、JASRACへの対応について解説していきます。

JASRACとは

著作権の管理団体の代表格です。

J-pop、アニソン、大手の洋楽の著作権を管理しているため、基本的にそれらの楽曲をDJで扱う際には本来的には対応しなければならない団体さんです。

著作権の管理団体は他にもあるのですが、基本的にアニソン、J-pop、ディスコなんかのポップスでDJをする私のような人がおおかたJASRACに対する主たる対応を迫られる事になります。

対応しなくて良い場合

さて、概要はこの程度にして早速ですが実務的な話題に移っていきましょう。

結論から言って対応しなくても大丈夫な場合について簡単にまとめたので、以下に該当する場合はこの記事は読まなくていいです。

パーティースペース、DJバー、クラブ、ライブハウス、結婚式場でDJをする場合

基本的にこれら飲食店及びあはJASRACが包括信用契約を締結しているパターンが多いです。

包括信用契約とは端的に言ってしまうとイベント毎の精算は非常に手間がかかるので、月に大体何回イベントやって、その時にかかる曲が平均して何曲くらいで、売上は大体このくらいだから著作権料は毎月こんなもんですわ、と言う情報を元に結ぶ契約です。

包括信用契約を締結しているこれらのスペースでイベントを行う場合は会場貸しを行なっている企業側が著作権料を負担していると考えていいでしょう。

ただし、「基本的に」と枕詞をつけると言う事はつまり「例外」も存在します。

例えば結婚式場でカラオケが設置されていないような新興のオシャレな感じの奴だと、ランニングコスト嫌さに使用者負担としている場合もあります。

ハンコを押す前にキチンと書類に目を通した方がいいでしょう。

JASRACに対して対応や支払が必要な場合

逆に見るべき人はこちらです。

野外を含む上記以外の施設で入場料を徴収する場合

例外のパターンがこれ。

包括信用契約を契約していない会場や野外でDJを行う場合はJASRACさんとやり取りをする事になります。

余談ですが、マスコミメディア(新聞、ラジオ、テレビ)で取り上げられると確実に請求が来ます。

JASRACへの申請方法

対応が必要なあなたへ。ご安心ください!

対応は確かに必要ですが、対応方法を知っていれば恐るるに足らずです!

具体的なフローとしては

  • JASRAC公式webでイベントの実施要項を提出する
  • 開催5日前にJASRACへ使用楽曲リストを提出。(事後申請でも可)
  • 使う曲と使った時間を記入し、近くのJASRACに提出
  • 後日郵送される振込用紙orインターネット振込を使って著作権料納入

以上がフローチャートになります。

料金の試算について

https://www.jasrac.or.jp/users/event/

料金については1曲ずつ料金が発生しますが、一定数を超えると定額になりそれ以上かからなくなります。

また、フロアの大きさと入場料金に応じて申請料金が異なってくる点にも着目しましょう。

JASRACとの対応を事例を元に解説

一番気になるであろう金額についてですが、今回はお寺でディスコイベントを開催した際の事例を使ってお話をします。

ちなみに別記事で、お寺ディスコのセットリストならびにmixも公開しているのでよかったらご覧ください。

使用したトラックリストはrekordbox djやserato djの場合は履歴が残るので、それらを参照して下記URLで使用楽曲を入力します。

また、JASRACが管理しているかどうかが支払うポイントになりますので、使用楽曲に関してはJASRACが管理している楽曲のデータベースサイト J-WIDから管理しているかどうかを調べる必要があります。

https://www2.jasrac.or.jp/eJwid/

とは言え犬も歩けば棒に当たるみたいな話で、大体のアニソン、J-pop、洋楽(クラブミュージックではない)はJASRACが管理しているので、大体出ます。

出なかった場合は別の著作権団体が管理している場合があるので必ず調べましょう。

ちなみに、初回のイベントでゴタゴタになり申請連絡を忘れていたところご丁寧に申請忘れていませんか?という確認の連絡がありました。

イベントは大変なのは重々承知していますが、面倒くさがらずに速やかに対応するのが吉です。

実際に払った金額

と、いうわけでダンスパーティーのメインフロアたる本堂の場所の平米数は60平米とのことなので、額面通りに申請。

入場料1000円、総イベント時間は2時間。出演者が3人、持ち時間40分で使用楽曲は大体平均20前後です。

支払った金額は振り込み手数料を含み10000円かかりませんでした。

会った時に一杯おごって頂ければ詳しい金額についてお話しします。

支払わないとどうなるか

JASRAC側から催促を受けた時点で、ほぼ100%支払義務が発生します。

支払わなければ、恐らく最終的に訴訟になり、訴訟になれば100%負けます。

請求金額もブッキングや機材手配料と比較してもそこまで法外な請求は来ないので、請求を無視してイベントを繰っていくよりも、支払った方が健康ではないかなぁと思います。

 余談1 原盤権について

ここからはおまけコーナー。

原盤権とは音源を自由に配信する権利のことです。

ここで言う配信とは、CDやレコード等の媒体での販売、デジタルストアでの音源配信、ストリーミングサイトでの音声配信を含みます。

著作権の隣接権利として議論によく上がる原盤権ですが、対面において実演する場合は原盤権の権利処理(許諾を得る必要性)は発生しないので、考慮の対象から外して大丈夫です。

ただし、twitchやYouTube等のストリーミングサービスで配信を行う場合は現行法では原盤権を持っているレコード会社やレーベルといった法人に許諾を得て、配信を行うのがホワイトな方法とされています。

ただし、1プレイで何十曲と使うDJが個人でそれぞれの法人に許諾を得てDJプレイすると言う事はこの記事を読んでいるようなアマチュアDJでは現実的に無理なような気はします。

恐らく最もクリーンなDJの前例としてはコロナ禍の中配信されたmusic unityですが、過去最大規模となったmu2023のアーカイブ配信はありませんでした。

また、mu2020もサブスクライバー限定という措置が取られています。

アーカイブ配信をしない理由にあたっては、D-YAMA氏が原盤権が問題の1つであるような趣旨のツイートしているあたり、商業的な成功を収めた配信イベントですら、ネックになり得る事情がある以上、やはり現実的ではないと言うか、少なくとも日本語楽曲でストリーミング配信をするにあたってこれらの摩擦は解消する事は現行法上不可能なのでは…?というのが率直な感想です。

https://x.com/choroyama/status/1640565422641778688?s=46&t=CzJCnIlrbn3Jv1_PaD9sqA

youtubeのconnect idを活用した試みもアップロードされており出来なくはないんでしょうけど、サンプリングミュージックの際の分配やブートレグの扱いはどうなんだとか、現行法で白黒がつかない問題が横たわっている以上、実験の域を出ないなと言うのが個人的な感想です。

従って、twitchにしろ、youtubeにしろ原盤権の問題がクリアできない以上、垢BAN等のリスクがつきまといます。

垢BANのリスクを背負いながら下積みや修行期間を過ごし、DJプレイの録画での収益事業化は厳しいと言わざるを得ません。

そう言う意味ではストリーミング内のQRコードで投げ銭を募っていくと言うのはなるほど理に適っているなと言う印象ですが、少なくともそういう抜け道的な事が何回も見逃されるかと言われればそんなわけもないので、このままだと大きなビジネスチャンスにはなり得ないだろうなと考えます。

余談2 割れ音源問題とJASRACについて

著作権法でDJの間でよく引き合いに出される違法ダウンロードやyoutubeのクリップから音源を抜き出して再生する割れ音源問題についても合わせて記述しておきます。

ブートレグやサンプリング、レンタルCDといった文化がある為、マナーやモラルの問題にすり替えられる事が多いのですが、刑事罰になる厳罰化と非親告罪という事で法的な側面で基本的にはアウトです。

個人的な見解ですが、違法DLに関しては言葉を選ばずに言えば万引きした音源で承認欲求を満たそうとするのはいくら何でもシャバい、ダサい、と言うのが本音です。

ただし、JASRACにおける手続きはかけた楽曲の申請であり、入手した方法が適法であるかどうかについてはジャッジしておりません。

違法DLかどうかを判別するテクノロジーが手元にない以上、聴衆やオーガナイザーはともかく、権利団体ですらジャッジの範疇にないのであれば、問題の範囲外の外野がどう制裁を加えるべきなのか、という議論はそもそもが的外れなのかなと感じます。

DJ行為そのものがグレーな行為なわけですから、コミュニティの鼻つまみものにケジメをつけさせると言った内ゲバが大きく発展するのは、DJそのものがグレーから黒になり、やがて社会の鼻つまみものになるという道もありえるわけですよね。

従って、違法DLのDJはマナーやモラルの問題であるからどうジャッジするか、ジャッジした後にどうやって落とし前をつけるかみたいな果てしない議論が繰り広げられることがあります。

ただそれはコミュニティ内のエンパワーメントによって左右される事項であり、そうした事は本来的にはコミュニティに収めるべきではなく、司法や行政の判断に委ねるべき問題です。

稀にSNSでこういう奴がいた!みたいな報告を社会正義の代行者と言わんばかりに振る舞う人間がいますが、結局のところそうした振る舞いは日常の憂さ晴らしの延長でしかなく、社会正義の代行者も真に問題解決を願っているわけではありません。一個人や一団体が判断すべきではない問題として扱うのではなく、やるなら徹底的に、国家権力と司法を存分に使って活動する覚悟を持って取り上げる事を徹底すべきかなと思います。

割れ音源については以前執筆したNoteに詳しく書いています。掘り下げた話を確認したいという事であれば拙作ですがご覧ください。

https://note.com/dj_makutan03/n/n1216d9e0211b

おわりに

と、言うことでJASRACに対しての考え方と手続きの方法について解説しました。

多くのオーガナイザー、DJには関係のない話ではありますが、変わったことをやろうとすると意外とネックになって来る著作権についてのお話でした。

仕組みさえ知っていればそこまで怖くないので、逆に最初から来るものだと思ってJASRACの方に問い合わせメールを打ってあらかじめ試算をするのもありかもしれません。

知らないからと言ってに変に怯えたり構えたりせず、関係機関と相談しながら適切に対応することをお勧めします。

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