新年おめでとうございます。アヘバス管理人です。
今回は一昨年好評だったアニソンRemixの傾向と対策…私は勝手に赤本記事と呼んでいる奴の2020年版です。
正直2020年は世界規模で分断と対立が目立ったので、傾向と対策をまとめてまた次の闘争への煽り合いを始めると言うのは正直…と言うところはあります。
しかしながら、弱小ブロガーであるアヘバス管理人的には減ってしまったビュワーを取り戻したいと言う気持ちはあるので、昨年の事を振り返りながらこの記事を書いていきます。
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おことわり
2019年版の記事の要点はbassline houseが流行ってるらしいぞ!と伝えたい記事でした。
今回の記事はこれの続きになるので、読んでない人はこっちを読んでからのほうが理解が深まる気がします。
前述のリンク記事にもあります通り、アニリミ界隈は基本的に元になるアニメ、サブカルネタの動きと連動しています。
従って今回も傾向と対策という表題通りサブカル周りを俯瞰的に振り返ります。
振り返った後に、アニリミDJが恐れる曲被りに対してどういう対策を取るか--私は雑魚DJなので、振り返った流行に対して追いかける(フォロー)か、突っぱねる(メタ)かの対処法、フロアに出る機会が全くなかったにも関わらず自分がフロアに出たらどうするか、という妄想をします。
この妄想という部分は非常に重要です。
今回の記事はもっともらしいロジックを並び立て、1番目立つ為にどうするかを妄想する暴走中年男性の記事です。
全く無視して組み立てても何ら問題はないわけです。
もう1つ、筆者はケチなのでアマプラしか契約していません。全然的外れの場合は鼻で笑ってください。
また、売り上げチャートと違う動きを追っているので、鬼滅が入ってないじゃないか!とか言われても責任を持てませんので悪しからず。
記事の対象者と要点
記事の対象者は、長めの文章が読める人です。
7000文字を超えています。
傾向と対策、という仰々しいタイトルに相応しい読み応えあるコンテンツではありますが、「空腹は最高のスパイス」と言う言葉に表されるように、我々には充実したクラブ遊びができていない空腹の人間なわけですよ。
多分、ここまで考えたりしなくても、狂ったように踊れるように気持ちを整えておくことの方が2021年は重要なんじゃないかと思います。
記事の論点は以下の通り。
- 2020年のサブカル音楽覇権はヒップホップ
- ヒプマイに対するフォロワーの猛追撃
- 2020年のアニリミは昨年に引き続きUK一色?
- 曲被りを避けたいなら横と縦を意識したdigと選曲をしなければならないのではないか。
2020年のサブカルを一言で表すとヒップホップだった
精度が甘いと前置きしたのは、マジで個人的な話ですが、仕事と結婚準備に忙殺されてアニメも記事もDJもできないなぁと思っていたらあっという間に置いていかれた。
そんな感じの年だったからですね。
ライフイベントに変動が起こるとDJやりにくくなるのはマジでした。
そんなわけで昨年はあまり積極的なリサーチを行なっていなかったのですが、2020年はアニソンRemixと言いつつも話題になったのはVtuber関連楽曲じゃないでしょうか。
私自身はVtuber方面には全く明るくないですが、それにしても
Boogey voxx D.I.Y
シスタークレア DOGMA
森カリオペ 失礼しますが、RIP♡
この辺りのRemixは疎い私にもがっつり届いていた印象です。
サブサク時代※1ならではの音楽の戦い方にアジャストした成果が如実に現れた結果となっています。
一方のアニソン原曲界隈も個人的にすごく大好きなかっこいい曲が豊作の年だったと感じています。
元ネタとなる2020年アニソン原曲はクール系楽曲のエッジがすごいです。
例えば「映像研には手を出すな」op chelmico Eazy Breezy
「攻殻機動隊 SAC_2045」 op millennium parade Fly with me
「呪術廻戦」ed ALI LOST IN PARADISE feat.AKLO
hiphop要素を取り入れたミクスチャーのヒットが耳目をとらえて離さしませんでした。
2019年のベストアニソンは 女王蜂 火炎 でもそれとなく記述しましたが、「J-popでがっつり流行ったものが4〜5年くらい遅れてやってくる法則」を見事に体現している年であり、テレビ番組「フリースタイルダンジョン」でお茶の間を席巻したHiphopカルチャーの波がオタク界隈にも到来したのが2020年だったと言えるでしょう。
※1 サブスク時代 低価格でもよく鳴る再生環境と大容量データ転送がリーズナブルな価格になった結果、20年前と比較して低音の強い音楽がインスタントでも楽しめるようになった2010後半以降の話。
副次的な効果として2010年代半ば(要検証)からそれまでUSチャートを占めていたポップスはロックからヒップホップへと変化しており、「ASIAN KUNG-FU GENERATION」後藤正文や「ゲスの極み乙女」川谷絵音と言ったバンドマンが、インタビュー記事でチャート結果を受け、低音のクリエイションに言及している事から大衆はギターヒーローよりもヒップホップスターを求めている(だからサブカルもその辺りがフィーチャーされやすい)という予測を基に今回の記事は展開しています。
ヒプマイに対するフォロワーの猛追撃
「フリースタイルダンジョン」を端に発するヒップホップブームがサブカル界隈を席巻する1つの要因として考えられるのは、2020年冬クールでとうとうアニメ化したオトメイトの新規IP※2「ヒプノシスマイク」でしょう。
いち早く流行の波を予想し、楽曲制作に実際にシーンの最前線で活動しているアーティストを動員していると言う前例のないプロモーション方法は鮮やか。
アニメ版EDなんてジャイアンとtofubeatsが肩を並べてるわけですから、とりあえずヤバいですよ。
その流れを手繰り寄せようと他社の独自IPもクラブミュージックに進出をしています。
バンナムの新規IP、「電音部」やブシロードのアイドルシリーズ第3段の「D4DJ」等、インターネットミュージック黎明期で活躍していたトラックメイカーが楽曲提供をするなど、独自IPの音楽コンテンツはヒプマイのヒットを受け、関連商材の「クラブカルチャー」に照準を合わせ、Rapを躱してヒットを生み出す。一見するとそんな予想図を描いているようにも見えます。
ただし、IPビジネスで巨額の利益を得ているバンナムに関しては稼ぎ頭のアイマスシリーズをボヤけさせない為に他社と同質のコンテンツを擁立し、他社ipの差別化の意味合いを薄める用途があるんじゃないかとついつい邪推してしまいます。
ただ、どんな形にせよ、クラブカルチャーを入り口にしたIP戦争が本格的になり、Remixと原曲の境界線は薄くなっていく可能性は非常に高いことから、ビーマニシリーズのように門戸の広がりは期待できるでしょう。
※2 IP interllectual properyの略で知的財産のこと。新規IPビジネスとは映像、音楽、グッズなどのキャラクタービジネスを1から立ち上げることを意味する。
2020年のアニリミは昨年に引き続きUK一色?
私はマーケティング担当でもなければコンサルでもないので、サブカルの商業的な話に関しては1消費者としての意見でしかありませんのでこの辺りで収めておきます。
さて、昨年からコロナ禍を収束を迎えないままに年明けてしまいましたので、Remixシーンは2019年に引き続きテンアゲのbassline houseを中心に愉快な140の仲間たちが大集合!欧米諸国から治安の悪いお友達がやってきた!みたいな年でした。
ただしこれは「おうち時間」と言う名の軟禁状態に対するアンチテーゼではなく、クラブシーンからセミアマ問わずに大多数のミュージシャンが隔離された結果、トレンドが動きにくかった年だったからだと言えるでしょう。
ただ、トレンドが動きにくいといいつつも1年も経てば多様化し、SPGやDonk、speed house、それに全く勢いが衰えないJersey clubと、派手な音色、スラング的なノリでhypeと言ったりするそうですね。そんなサウンドがRemixの花形だったのではないでしょうか。
従って、UK一色というよりかは、bpm135〜150あたりのブチ上がり系が全盛期に達していると言えるわけで、Hardcore、D`n`b系が主流だった2010前半のアニリミシーンと比較して世代交代が完了した、と言う印象です。
厳密に言えばUK1色とは言えないまでも、ヒップホップのbpm帯が80〜100、もう少しpop寄りだと120そこそこあるものを早回しして2stepのビートパターンを組み込んだ、「サブカルネタのgrime」というフォーマットが完成した※3と考えれば、UK1色と言う誇張表現もあながち間違いではないんじゃないかと自己弁護をしておきます。
また、おうち時間に対する反発があれば並行もあるわけで、追従したテンションキープ用に使いたいいい曲も豊作だった事も合わせてチェックするべきです。
何と言っても「BNA」ED NIGHT RUNNING
物珍しいクール系ベッドルームミュージックに色々なRemixが付加されて探しがいがあったアニソン原曲だったと言えるでしょう。
※3 grime(グライム) 2step、garageといったシャッフルビートのパターンでRapをするUK発祥のアンダーグラウンドミュージック。もっとも、grimeの代表曲と流行のアニリミは全くかけ離れており、あくまでも既存のクラブシーンと照らし合わせたらgrimeと言えなくもないんじゃないかみたいなこじつけレベルの話です。これを真に受けてTwitterにサブカルgrimeが流れたとか書くと赤っ恥を描くので勘弁してください
曲被りを避けるには
ということで、2019年から引き続き、2020年はbassline houseを筆頭にhype musicでフロアを燃やし尽くす選択肢と2step系のビートでカームダウンし、テンションキープに持っていく選択肢の2択の押し付けが王道パターンとして確立したと言っていいでしょう。
昨年末開催RemixDJの総決算、Nardyard公募はこの系統が一番多かったように感じます。
従って、流行をフォローしていくならパーティー全体で、と言うよりも個人プレイレベルのミニマムな戦略の話にはなりますが、140帯をキープしつつ、どちらにでも振れるように曲順を練っていく、と言うのが最も理想的な流れの引き方になるでしょう。
2021年も昨年に引き続き、140帯を中心にどれだけ曲を集めるか、可能であればメイキングしていくかがブレイクの鍵を握っていくはず。
ただし、王道パターンでカマしていく為にはやはり相応のdigが必要になってきます。
人気ジャンルだけに使用率も高く、メインジャンルの片手間にという使い方は昨年、一昨年よりも難化の傾向にある上に、配信イベントになるとミスが現場よりも顕在化しがちです。
中箱ならJerseyやDonk、Rusian hard bass等の別ジャンルも織り混ぜて派手目に展開する方向でいくと良いでしょう。
また、出演、あるいは主催するイベント成熟度にもよりますが、この辺をしっかりキャッチしてくれるお客さんがもしもいるなら、インターネットレーベルとの相性も悪くないはず。
相関性を期待して横方向に揺さぶりをかけるような選曲をすれば曲被りは避けられます。
小箱であれば2stepやbrakesが流行していた時代の90〜00年代のアニソン原曲や往年の2stepで縦方向の連続性を強調してていくことで、より柔軟な流れを組み立てることができそうな気がします。
流行のフォローをやめて、メタを張る。
時流に対して反目するならば、160帯にあげてRaveやjungle、juke/footworkで深くしていく、あるいは120帯まで下げてhouseやfuture funk等の4つ打ちやLo-fiテイストのものを開拓するという方向性でいけば、そもそも被りようがありませんからやりたい放題です。
2020年注目トラックメイカー
と、言う事で上記を踏まえた上で例によって独断と偏見でトラックメイカーさんを紹介します。
FAIZ
DJユニット有限会社無限のメンバー。
スクラッチ、VJ、そしてbootleg作成と若さの暴力みたいなDJさんですね。
basslineを軸としながらDonk、Basshouseに着手するなど貪欲にエッセンスを吸収して行っているので、コロナ収束後に全国区へと旅立つでしょう。
今後の活躍に目が離せません。一昨年前のリリースにはなりますが、「あゝオオサカdreamin'night」FAIZ BASSLINE BOOTLEGはマスト。
昨年末のXmas配布コンピ、「Subcluture BASSLINE EP」も快作揃いなので要チェックです。
hallycore
今一番勢いのある若手トラックメイカー。
インターネットレーベル、brutshitを創設し、NXC、future funk等ナードなテイスト溢れるhype musicがとてもかっこいいです。
配信DJイベントも定期的に開催しており、配信ブームで1番頑張ったのはこの人じゃないかなと勝手に思ってます。
beatmania 2dx exchange placeのNXC仕様は私がDirty androids大好きマンなので聴いててシビれました。
3級知財管理技(わざ)
某氏の某名義。謎のbootleger、3級知財管理技。初期はD'n'Bのbootlegが多かったのですが、最近は2stepの発表が多い印象。
インターネットレーベル周辺でも作家性の高い作品を発表している事もあり、音作りは一歩抜きんでています。
アニソンもそうですが、J-popの大ネタを軽快な2stepに仕上げるので、クールな感じでフロアの期待に逆張りする時に使うのがいいんでないかなと思います。
filmiiz
Vtuberに詳しいアイカツおじさん。センスの良いmash upとしっかりメロを組み立てるタイプのRemixが魅力的。
Nardyard公募の際にオリジナル曲を使わせていただきました。
上手くできているかどうかは分かりませんが、緩急をつける重要なキーとして作用させたつもりです。
3級知財管理技氏にしろ、fillmiiz氏にしろ、派手な音色ではないリミが作れる人を見つける事はアニリミDJにおいて私は非常に重要な事だと考えているので、今後新たなるリリースが出てくる事を期待しましょう。
MUSICARUS
house系トラックをコンスタントに作っていく職人系トラックメイカー。ネタのチョイスの感度が異常に高いので、気がつくとセットリストの中を占有していることもしばしば。ある意味ではRemix系の環境トップというか、原曲を混ぜる理由がこの人のbootlegをかけ過ぎないようにするため、という部分が自分の中にあります。
イベントで一度かかると爆踊りするしか無くなる 、100DL限定のbootlegはものの数分で溶けるので要チェック。
入手難易度に裏打ちされた絶大な人気はフロアでもその求心力を遺憾無く発揮します。昨年リリースだと感電がピカイチ。エレピのソロの部分が本能を揺さぶるんですなぁ。アニソンじゃ無いけど。
WAKARAN GIRL
某氏の某アカウント。basslineの火付け役といえばlady's onlyかwakaran girlかと言う印象があります。
K/DA popstarのRussian hard bassやsweet basslineを初めて聞いたときはもの凄く楽しかったのと、昨年Donkが流行った一因としてやっぱりこの人のフォロワーが多いのではないかと感じます。
Bassmusic全体に対する造詣が深く、Bassと名前がつくタイプのジャンルはだいたい網羅的に作成している印象があり、新たなリリースに想いを馳せずにはいられない、目が離せないDJさんです。
DJ Heero Yuy
お前を殺す系、正体不明のアーメンアノニマスVGMDJ某氏の某アカウントという噂があったりなかったりですが詳細不明。
ゲーソンを中心にjukeやRave、amen brakeのbootlegを作っているDJさんです。
治安悪い系面白ナードコアの急先鋒なので、使い所を間違えなければ爆上がり間違いなしでしょう。
布施明のアホアホjuke、「俺は薔薇よりbeautiful」やアニポケEDRemixの「hype wild」等、今までありそうでなかった所を突いてくるネタのチョイスがとっても良いです。
また、ほぼ毎日あげてる料理の写真がすごく美味しそうなのも◎
ご飯をちゃんと食べる事は良いDJの基本です。
まとめ
完全なる独断と偏見で2020年を振り返りましたが、如何でしたでしょうか。
年またぎで作っているので、時系列に関しては2019年や2021年に片足を突っ込んでいるものもあるため、2020年の総括というにはざっくばらんなことを否定はしません。
ただ、1つ間違いなく言えるのは、Vtuberの出現とクラブカルチャーをターゲットにしたIP戦争によって、アニリミがもつ従来の意味は薄れつつあるという事です。
1番かけたい曲を引き立たせる為に縦(時間軸)のデザインと横(ジャンルやトラックメイカーと言ったメタ情報)の相関性を意識した選曲が曲被りを回避しながら、オリジナリティの担保となるのでは無いかと感じました。
今回の記事のまとめ
- アニソンでもヒップホップが流行り始めた
- アニリミは今年もbasslineや2StepパターンのUK色が強い
- VやクラブカルチャーIPが出現したことででアニリミが「アニソンRemix」でなくても良くなったんじゃないか?
- アニリミ以外にもインターネットレーベルやUKサウンド由来の古めのアニソン原曲、J-popなどを持っていたらめっちゃ便利な気がする
- ただ、そんなことよりもクラブ遊びが解禁になったときのために気持ちを整えておくことが大事。
以上です。ダラダラとすいません。