どうも、アヘバス管理人です。
今回はゲーソンDJイベント、HITPOINTにゲストとして出演致しましたので、再現ミックスを掲載します。
高松HITPOINTとは
AmusmentBar NOMU69で定期開催のゲームソングイベントです。
牧歌的な印象のイベントでキーワードはずばり手作り感でしょう。
オーナーのご好意で駄菓子の提供と有志作成のレジャーコーナーが用意されており、音楽イベントというよりも同好の志の交流会のようなほんわかした雰囲気です。
とは言え地元DJはオーガナイザー、全国区プレイヤーのばーばら氏をはじめ、レギュラーメンバーは粒揃いの精鋭が揃い踏みしております。
今回ご一緒させていただいたのは、急成長を遂げている新人、ぽんず氏、レアグルーヴによる深く刺さる選曲が得意なドラグン氏、ハイクオリティなコスプレと抜群のポップ感を放つろんろん氏、そして歌の筋肉お兄さん岡野神夜氏です。
近くにお越しの際は是非足を運んでください。
ミックスとセットリスト
洗い出しの段階で使いたい曲が70曲になりました。
正直かなり久しぶりの感覚で、全部かけたいけど時間が足りないと言う事になるのっては割と珍しいです。
150〜180まで、音ゲー曲を中心にガサっとかき集めまして、厳選した19曲プラスαです。
早速次項から恒例の、これが一番楽しいと言っても過言ではないソングレビューを書いていきます。
色々と間違っているかもしれませんし、まぁ誰得なのかという話もあるんですが、以前台湾のIT大臣、オードリー・タンが公開して逝けという哲学をインタビューで語っており、いい曲や考え方は残しておくべきかなと思って続けています。
ソングレビュー
1 captain funk/twist&shout
映画「Monday」テーマソングであると同時にPS2「鉄拳4」のCMソング。
ドラムンでもジャングルでもなく、なんならゲーソンでもない。初手ビックビート。
キャッチーだけど期待をちょっと外していくいつもの手口です。
BPMは初手で合わせてリワインドしてもう一回仕切り直しでやろうと思ってたんですが、いつものようにブースに悪魔が降臨した為断念。
みんな機材ブログなんて書くな!何故かトラブルに見舞われるぞ!
2 Cartax/bakashi
HijackRekords Vol.1収録。
元ネタはがんばれゴエモンシリーズの何かなのですが、ゴエモンは通らなかったので、分からないです。でも、ジャキジャキしたビートはかっこいいですよね。
DJ cartaxによるjukeremixで、かっこよさとビートの面白さが同居している快作です。外しも3回重ねると本命になるので、ポイントをずらしていきます。
3 monolith slip/movin'on the beat
元ネタはR4 Ridge Racer movin'on circles juke Remix
原曲はJ-ユーロビート/Rave的なニュアンスのあるOne more win/Urban Fragmentsのオルタネイティブバージョンですが、これをしっかりとmonolith slip色に仕上げています。
monolith slipのsoundcloudページで FreeDLでしたが、残念ながら現在は削除されている模様です。
4 DJ Heero Yui/Densha to Go hiromi
DJ heero YUI氏による電車でGOGOGO!2000×郷ひろみの声ネタナードコア。
DJ Heero YUI氏自体はベースミュージックの面白VGMRemixを多く手掛けておりジャンルも割とクロスオーバーしているので、判別が難しいのですが強いて言うならハードテクノやスピードダンスの流れをくんでいるのかなぁという印象です。
音ゲーをしっかりやってる時にNAMCO/KONAMI/TAITOの3メーカーでマラソンをさせる企画がありまして、並びを意識しています。
5 FROMSOFTWEAR/Grip(Album ver)
ロボットアクションゲーム、ARMORED CORE ProjectPhantashmaよりOPムービー/主人公ライバル・スティンガー戦BGM
初代はエッジの効いたテクノサウンドでその中でも一際ハードなのが、このGripです。
闘争心を煽るようなブレイクビーツと疾走感がたまりません。
初代のサントラがプレミア価格で当時15000円。
買うかどうか悩んでいたら約20000円で10枚組のアルバムの受注案内があったのを公式サイトで見た時「安い!」って言って買った記憶があります。(適正価格だけど、安くはねぇ)
6 日比野則彦/Yell Deadcell
メタルギアソリッド2 プラント編中ボス戦のBGM。
BPMは160ですが、これもドラムンやジャングルと言うかはハードテクノの延長線にあるような楽曲の印象です。
ダンス系のイベントで使いやすいのはこの曲と、あとはラスボス戦のFatherandsonはダークなドラムンベースで使いやすいですね。
ゲームの作りというのは大いに関係しており、戦闘時以外のBGMは基本的にビートがないアンビエントな作りになっており、だからこそ激しさが映える=記憶に残りやすいと言うことなんかなぁと思います。
7 ZUNTATA/ラベンダーの咲く庭-progressive flute ver-
STGの金字塔的作品、レイクライシスよりラベンダーの咲く庭のSTAGE1のBGMのスマホ版アレンジ。
原曲と比較するとフルートのメロディーとギターのドライブサウンドでポップめのアレンジになっています。
使い分けとしてはトーンを落としていくなら原曲だし、時間に余裕がないポップの文脈で行くならこちらの方が映えがあっていいのかなぁと言うところですね。
この辺りからメインボリュームのジャングル地帯に突入していきます。
8 SANODG/EXH*NOTES
リッジレーサーズ2より佐野電磁氏の名曲EXH*NOTES。
今回はリッジレーサーズ2ダイレクトオーディオより音源を引っ張ってきてますが、RaveRacerが初出でそちらのサントラにも収録されています。
どちらもサントラの入手難易度は大きく変わらないのですが、サンクラでのFreeDLを多用する私にとっては音源は新しい方がありがたいですかね。レトロな雰囲気に統一したいのであればRaveRacerのサントラの方が馴染みやすいでしょう。
作曲者本人のソングレビューにはドラムシーケンスの構築に制作工程の9割を持って行かれていると記述があり、丹精込めて練り上げた濃厚な手打ちブレイクが味わえるジャングルとなっています。
クラブユースでの飛び道具としては勿論、juke/footworkからの転換ポイントに使っても面白い、万能さがあると思います。
9 奥河英樹/SPUNKY
ストリートファイター3 3rd StrikeよりまことステージのBGM
3rd strikeのサントラは従来シリーズとうって変わったクラブミュージック路線で構成されており人気が非常に高く、原盤もプレミア価格がついております。
ただ、ありがたいことに各種配信サイトで音源が手に入る状況もあって、入手難易度は比較的抑えられている印象です。E-CAPCONであればWAV音源が入手できるので、今から手に入れるのであればE-CAPCON一択ですね。
サウンドについてはSPUNKYもブレイクのチョップが気持ちいいプリミティブなjungleとなっており、音圧も90年代のサントラにしてはかなり頑張ってローが出ているので色んなところで使いやすいと思います。
10 中西哲一/Void
エースコンバット3エレクトロスフィアよりM12/M42のBGM。
ずっとカロリー高めの選曲で来てるので少しトーンを落とす為に使用。
前曲SPUNKYもマイナーコードなので、ソフトランディングさせて展開に谷を作っていきます。
レーベルで言うとSHOOGUN Audioとか初期のmetalheadzがこんな感じで冷え冷えのクールなジャングルを多くリリースしています。
ちなみに若者に大人気の電音部はこの世界の延長線上にあるとかないとか。
11 STGM/Shooting Star(STGM Extend Edit VIP)
プレステのパズルゲーム、Xi(sai)のタイトル画面BGM。
アンビエントな原曲に対してベースミュージックDJ、STGM氏がthink brakeを乗せてダークでエネルギッシュなドラムンベースになっています。
前々から使う機会を伺っていたので、今回使うことができてとっても嬉しいです。
前曲で谷を作っていったので、本当言えばもう何曲かで谷底を作って行くのですが、持ち時間も持ち時間なので、時間いっぱいかけていきます。
12 Lil Anastasia/Hotel moonside×Jet stream
アイドルマスターシンデレラガールズより特大アンセム、Hotel moonsideとliquid funkの特大アンセム、Nu:tone Jetstreamのmashup。
食べ物で例えるならカツカレーのような曲です。
個人的には使いやすさ盛り上がり、音の良さ全てが高いレベルなので曲に頼り切ってしまうので最近は禁止カード指定…にしていますが、今回も解禁してしまいました。好きだからしゃあないね。
* orange lounge/marmalade reverie
beatmania 2dx 7th style初出。
ジャンル名YEYEと聞き慣れない感じですが、シャンソンやボサノバをベースに強めのビートがのっかっている形態が特徴、1960年代に流行したジャンル名を冠しています。最初に聞いたときはピチカート・ファイヴのインスパイアかと思っていたのですが、逆なんですね。自身の浅さが悔しいです。
現場ではかけてないのですが、好きなのでちょっと挟みました。
13 When the Moon's Reaching out the Stars
ペルソナ3より夜の散策パートのBGM。
かけているのはOST版ではなく、人気が高いトラックをエクステンドしているこちらのアルバムからです。
こちらも作品のクールな雰囲気をよりエッジに表現する事に一役買っている名曲。
ストリングスと軽快なブレイクビーツが都会の中夜風を切るようなそんな気持ちにさせる曲になります。
14 Dive into the mellow
元ネタはソニックアドベンチャー2のナックルズパート、アクアティックマインのBGM
原曲はタイトル通り、メロウでチルアウト的な作風ですが、某氏がビートジャックする事により、Liquid Funkへと生まれ変わりました。(これに関しては何だか迷惑がかかりそうな気がするので名義は伏せさせていただきます)
クリスマスFreeDL祭りでメジャーシーンでも活躍する某氏が配布していたので使用しました。釣果は値千金だったという事でしょう。
クラブユースにも問題なくこなせます。
15 SWAN.K feat.AsukaM/LOVE B.B.B
beatmania 2dx 19 Lincleよりスキャットと煌びやかなメロディラインが特徴的なドラムンベース、LOVE B.B.B。
Liquid funkから後述するFar east nightbirdに対するシフトチェンジ的な役割で使っています。
BEMANI系のDJで抑えておきたいのは足の動きよりも指の動きの方が省エネなので、人気曲は程よく疲れを演出するために、主流のスピードよりも+5〜10のbpmである事です。
人気が突出していない過去作の方がより、使いやすいbpm帯(例えばD'n'BであればLoveB.B.Bは173でドレスコードを遵守しているが、一方で、後述の同じジャンルを冠する人気曲を沢山輩出している猫叉Masterは180以上のD'n'Bが多く、この速さのリズムに乗るのは私にとってはキツい)ですので、この辺りのギャップを解消していく事が音ゲーDJの醍醐味になるのではないかなという事を強く訴えていきたいですね。
16 猫叉Master/Far East Nightbird(extended mix)
jubeat knit 初出。個人アルバム「さよなら世界」収録のExtended ver
氏の得意なオリエンタルでメロディアスなリードシンセ、パッドの浮遊感、ブリブリのベース、細かいドラムフィルが高いレベルで調和している青春の一曲。
音ゲー曲を使う上でもう1つ気をつけたいのはEQ。ボタンを押す為に必要な情報を少ない音量で届けるというサウンドクリエイションの性質上、midノブをひねれば同じだけのキックとハイがごっそり動くようになっており、EQ捌きに関しては普段よりもシビアなように感じます。
また、midに集中してる兼ね合いで、低音域が軽く、とにかく浮いてくると言うか分離感、混ぜても混ざらないような印象です。
ハーコー系はまだキャッチーなシンセリフなんかで誤魔化しが効くのですが、ビートを前面に押し出したD'n'Bはちょっと厳しいと言うか、存外振るわない迫力にがっかりする方が先に来ると思います。なので、Hi、Lowを気持ちカットして、Midをブーストしてやる、EQ捌きもmidをブーストさせながらchフェーダーを落として行くと言った工夫をしています。
高松にはいわゆる音クラがないので、こんな大ネタをかけるような機会がそうそうないわけで、曲に対する経験値が足りない中での見せ方や繋ぎ方で何とかやって行くのがDJの腕の見せ所なのかなと思います。
セットリスト組んで何を偉そうにと思うかもしれませんが。
17 MIKEY303-PARANOiA MIKEYmix
初代DDRより190(前田尚輝氏)のJungle、ボス曲、初心者の壁として君臨している
PARANOiAのJungle mix
190は多分難易度というかゲーム的な面白さ的な早さですが、こちらのRemixはゲーム的な要素を噛み砕いてダンスのフォーマットに落とし込んでいる秀作です。
Far East Nightbirdで足りていないロー部分から補完するような形で差し込んでいき、最終8小節でmidを大胆に切り変えて行くといい感じ。
18 HiroshiOkubo/Burnin'Rubber[Takeshi Nakatsuka Re-edit]
Ridge Racer R4より、リマスターアルバム収録の20th ANIVから中塚武氏によるBurnin'Rubberのリエディット。
原曲はクールなR4楽曲とは対照的にこれまでのリッジのような熱いリッジサウンドを体現したトラック…従来ファンに対する気遣いの塊を数多のCM楽曲制作を行う中塚武氏が大胆にビッグビートに仕立てた意欲作です。
YouTubeにあがる海外ニキのコメントにはSEGAっぽいと言うコメントがあり、その辺りの解説は後述するBoarder70で解説しましょう。
R4ファンなら既に持っているとは思いますが、ぜひCDを買って聞いて下さい。
19 Hideki Naganuma/Boarder 70(Somethin'Jazzy for Your Mind Mix)
SEGAのアーケードゲーム、Ollie Kingよりstage1 Boarder70のVIP
ドリームキャストで発売されたJetSetRadioでその名を世界に轟かせたビッグビートアーティスト、長沼英樹氏がブルージーなギターサウンドにウッドベースを加える事で原曲の暴れ加減をスマートにセルフアレンジ。
前述のBurnin'RubberがSEGAっぽいと言うのはまさに長沼英樹氏のトラックの印象が強いからであり、親和性を重視してチョイス。
20 stepic/Grafittin'Thru Tokyo
フィラデルフィア()のDJ、stepicによるJetsetradioネタのD'n'B
JetsetradioのHumming The Bassline→ Let Mom Sleep→Sneakman→Let Mon Sleep→Humming the Bass lineの早回しをブレイクビーツに乗せ、スクラッチや声ネタ音ネタ満載のバッキバキbootleg。
派手な作りで、聞き応え抜群ですが、分かりやすくミックスポイントが配置されており、盛り上げるもよし、締めによしと使いやすいこの曲。何度も現場で使っている自分の中の安定択。いつもありがとう!
おわりに マインドセットを兼ねる選曲
と、言う事で160〜174でアッツアツの30分、それと同じくらいの熱量で言いたい事を好き勝手言いました。
選曲にあたって、プレステの世界観っていう所は意識したポイントになります。
jubeatや弐寺といった音ゲーがきっかけでドラムンベースを知り、ドラムンベースのリファレンスを探す過程で通らなかった初代プレステに出会い直した経緯があるので、プレステっぽいDJというか世代感みたいなのを前面に押し出していこうみたいなの展望がありました。
HITPOINTの傾向としてリアル系よりもファンタジックなゲームの楽曲がかかる傾向が多いので、場合によっては完全に滑る可能性があったのですが、勝算があるとするならば、ここ数年のファッショントレンドを表す言葉にY2Kという言葉があります。
1990年から2000年初頭にかけての文化、流行の再発見ということを指している言葉ですが、ドラムンベースが元気な時期がちょうどこの辺りで、上で挙げたようなタイトルをはじめ様々なゲーム音楽にも取り上げられていたので、トレンディングなサウンドになる事はある程度予測が立ち、おかげさまで自分の得意分野で伸び伸びと楽しくできました。
と言いつつも、内心気が気じゃないそんな現場でした。
ゲストDJ扱いですが、デイイベントで当日は仕事が入っていたのでめちゃくちゃに良い時間でやらせていただきました。SPゲストの後、つよつよゲストの前で、ゴリゴリのピークタイムです。
本日のタイムテーブルと配信リンクを固定に据えておきます。
私は手練れの方々に挟まれておりますので、正々堂々、絡め手、場外乱闘みたいないつも通りのDJingを心掛けます。#高松HP pic.twitter.com/BvqlyRPZau
— まくたん (@DJ_makutan03) September 29, 2024
SPゲストのHiroshi Okubo氏……私が初めて買ったゲームソフトがリッジレーサー、現場デビューをした際のセットリストにはUrbanFragmentsが入っているくらい思い入れのあるゲームの楽曲制作者と言う事で神様のような人の後、更に私の後に控えるゲストDJのとーしゅ氏は年間100本以上の現場をこなすVGMDJの雄です。
ありがたい事に地元に帰ってきてからのほうが強いDJさんとご一緒できる機会に恵まれており、贅沢な悩みだとは重々承知していますが、それでも格上と格上に挟まれるというプレッシャーで正直に言って楽しみというよりかは不安の方が大きく、本当に余裕が無かったと言うのが正直なところです。
お二人共気さくでとても物腰の柔らかい紳士的な方だったこともあり、比較的早めにコミュニケーションが取れたことも手伝い、高松に帰ってきてから課題となっているマインドセットにちゃんと方向性が見いだせたのが今回大きく成長できなと感じるところです。
結論としては格上に挟まれた時こそ自分色を出すというか、強みを明確にするDJをするべきだと感じました。とはいえ、強みが通るかどうかはお客さん次第なので、実力というかは運に恵まれたなと言う印象です。全ての巡り合わせに感謝申し上げて締めさせていただきます。