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ゼンハイザー HD25 レビュー

どうも、アヘバス管理人です。

今回はおすすめヘッドホンの項で雑に紹介したHD25のレビューです。

おすすめヘッドホンのポストで紹介した時は何か変なテンションで雑に紹介をしていますが、今回はガチレビューしていきたいと思います。

HD25とは

 

ドイツの音響メーカー、ゼンハイザーから発売されている業務用モニターヘッドホンです。

ゼンハイザー公式サイトから引用しますと、以下の通りです。

HD 25 は今から25年前、1988年にデビュー。回転式イヤーピース方式を採用したことで、最適な片耳でのモニタリングを可能にしました。当初は、屋外での放送目的に開発されました。外部騒音の影響少なく、片耳でモニタリング出来るという利点と、長時間でも快適に利用することが出来るという利点は人気の理由になりました。

ゼンハイザージャパン株式会社 HD25について

業務といっても放送局での業務、とりわけ屋外での使用を想定されているヘッドホンで、壊れにくさ、軽さ、メンテナンスの容易さに重きを置いたヘッドホンになっています。

スペック&音質について

スペックの話

カタログスペック上の再生周波数は16hz~22000hzという事で、一般的なクラブ向けのパワードスピーカーとほぼ同じ周波数帯です。

ハイレゾ対応ではありませんが、人間の可聴域を考えると必要十分、過不足ないです。

インピーダンスは70Ωとポータブル機器で鳴らすには高いですが、ホワイトノイズが出にくいメリットもあります。

本体重量は約166g。オーバーイヤー型のヘッドホンが大体260g~330gという事を考えると驚異的な軽さであると言えるでしょう。

音質について

基本モデルのHD25にしても、私が持っているHD25 aluminumに関しても傾向としては低音と高音が強調されて聞こえるドンシャリ型です。

後述する側圧の影響でドライバーと耳が物理的に接近する為、音場は狭く感じます。

狭く感じると言うか、圧縮されている塊のようなスピード感があるサウンドを体感できます。

塊と表現しましたが、一方で重低音強化系にありがちなボヤついた音像ではありません。

音像がモニターライクに各パートがしっかり聞こえる、いわゆるキレのある表現をしようとします。

25周年記念のHD25 aluminumに関してはハウジングが樹脂から削り出しのアルミに変更されている事からもっと輪郭のはっきりしたパキパキのサウンドになっています。

原音忠実なモニターではなく、音楽ファン向けに調整したコンシューマモデルと認識すべきでしょう。

どちらにしても、この特性からバンドサウンドや電子音楽を聞くのに適しており、多くのDJに愛されるのも納得な機材と言えるでしょう。

HD25のユーティリティについて

今回は元々持っているものなのでアンボックスは無し。特徴的な機能が4点あるので紹介。

  • 万力のような側圧
  • 折りたたみ機構はなし
  • 右出しのスチール製ケーブル
  • 180度回転するイヤーピース
  • パーツを個別に注文できる
万力のような側圧

屋外の放送業務を想定している事から移動に伴うちょっとやそっとでズレたりしないような側圧の強さが特徴。

長時間快適に使用できると言うのはつけたり外したりと言う取り回しの部分でのcomfortであり、装着感のcomfortを指しているわけではないと言うのは耳に当てた瞬間「理解らせ」されます。

とんでもないメスガキです。

折りたたみ機構はなし

DJヘッドホンの多くはハウジングやアームを内側に折りたたんでコンパクトに収納する機構が備わっているものが多いですが、HD25はそういうのはありません。

過去にBeats mixrというヘッドホンがこの問題の解消に取り組んでいますが、基本的にオンイヤー型のコンパクトヘッドホンは一体成型で折りたたみができません。偉大なる先人はそびえ立つクソと同義であることを暗に物語っているということかもしれません。

右出しのスチールケーブル

一般的なヘッドホンと異なりHD25はケーブルが右出しになっています。

また、低音を売りにしたヘッドホンケーブルは基本的に無酸素銅(OFC)を採用しがちですが、業務用と言う事もあり踏んでも断線しにくい鉄製ケーブルを採用しています。

どちらの特性も普通のヘッドホンにはないという点で非常にレアですが、個人的にはイマイチです。

例えば、PAミキサーの場合は基本右側にヘッドホンジャックがある為干渉しないようにと言う配慮のようですが、DJミキサーの場合は基本左側にヘッドホンジャックがある為、DJの現場で使う際にはある種の割り切りや慣れが必要になります。

また、鉄製ケーブルは丈夫ですが、やっぱりOFCを採用してたらもっと音が良くなるんじゃないかとか欲が出てしまいます。

どちらの特徴も名器と言われる割には基本がなってない、そんな印象を覚えます。

180度回転するイヤーピース

左側のみイヤーピースのみ180度回転する仕様になっています。

ヘッドホンを装着したまま外音とミキシングできる機能です。

ちなみにマイナスドライバーで分解することができるので、右側とコンバージョンすることも出来ますし、eイヤホンで取り寄せを行う事で両側を可動式のイヤーピースにする事もできます。興味のある方はお試しください。

パーツを個別に注文可能

回転イヤーピースの項でチラッと話ししましたが、MDR-CD900STとほぼ同じくらいリペアパーツが流通しています。

ケーブル、イヤーパッドはもちろんの事、ヘッドバンドやイヤーピースも販売されているのでディアゴスティーニごっこができると言うことですね。

コイルケーブルが異常に高いので、コイルケーブル派の人は断線の際のダメージの高さがネックかなって感じです。

リケーブルについて

もしも、ケーブルがOFCならもっとクリアでパンチがある音に…あるいは銀やプラチナできらびやかな音にしたらもっとモニタリングがしやすくなると思っている方のために、オーディオ改造の先輩らがHD25のリケーブル指南をしている記事がネット上ではたくさん見られます。

私も憧れてリケーブルしたものを使っていますが、基本的にはdj用途では非推奨です。

理由は3点

  • 断線に弱い
  • 市販品はほぼポータブル用
  • コイルケーブルが作れない
断線に弱い

やや語弊がありますが、リケーブルは断線に弱いです。

特にコネクタ部分の施工が非常につらい。

作ると分かりますが、コネクタ自体が独特の形状ではちゃめちゃに作りにくいです。

樹脂で固めて熱収縮チューブを被せる事である程度強度は出ますが、それでも接触不良が起きたりしますので基本現場での使用は控えておいた方がいいです。

私は何回か接触不良によるトラブルのためにディスプレイだけでDJを敢行したことがあります。人間の記憶力というのは良いことは忘れて悪いことはずっと覚えていることのほうが多いです。

せっかくお客さんが喜んでいろんな言葉をかけてくれても、「ヘッドホンの接触不良で十二分なパフォーマンスができなかった」という思い出だけが残りがちです。寂しくないですか?

ね、リケーブルやめましょう?

市販品はほぼポータブル用

耐久力に不安があるなら市販品を使えば良いじゃないと思った方も多いと思います。

U1万円で購入できるほとんど全ての国内メーカーの品が1.2m前後。流石にこの長さだとプレイに支障が出ます。

ん?激安中華リケーブルですか。あんなもの使うならそもそも純正で良いじゃないか…。

コイルケーブルは作れない

自作でコイルケーブルを作ることは出来ないのでコイルケーブル派の人にとっても頭の痛い話です。

総合するとこだわりがあればある人ほど多分思い通りに行かなくてもんにょりする事になるかと思います。

総評 使い勝手はイマイチだが、音が良すぎる

相対比較でしかないのでなんとも言えませんが、一般的なDJヘッドホンと比較してハウジングの回転や折りたたみ機構といった部分で現代のヘッドホンには敵わないという印象です。

ただし、出音のキャラクターはネガティブ部分をもってしても有り余る魅力を持っています。

ユーティリティ面では正直酷い言葉をかけていると思いますが、それでも数多のDJが使い続ける理由ってユーティリティがイマイチだからってこの音質を蹴ってまで別のヘッドホンでDJしない、そんな小さなことで魅力がスポイルされないという点があまりにも偉大なわけです。

そして、価格がお手頃なのも良いところ。

2023年の円高相場でも15000円台をキープしており、壊したら部品取り寄せでなんとかなるし、無くしたりしてもv-modaやpioneer djよりは精神的なダメージが少なくて済むでしょう。 

壊したり無くしたりする頻度が高い人や、定番品だからと敬遠しているDJへのプレゼントにもおすすめです。

なお、付属品にベロアパッドとコイルケーブルがついたHD25 plusという豪華バージョンもあります。

ブースでのボディランゲージがデカめの人は後からケーブル買うよりも安い値段でコイルケーブルを調達できるので検討すると良いでしょう。

2023年現在では発売から30年経っていますが、それでも第一線で走り続けるHD25。みなさんも一度使ってみてほしいです。

 

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