DJが知っておきたい オーディオファイル形式の話を牛乳で説明する

2020年5月8日

どうも、初心者向けTipsを拡充する話をしながらもついつい寄り道をしてしまうのが人の性。

有言不実行で有名なのがこの私、アヘバス管理人です。

さて、今回はデジタルDJ全盛期の令和元年を生き抜いている全てのDJに把握して欲しい話。

音源管理、特にファイル形式について話をしていきます。

面倒くさいのでついつい後回しにしてしまいがちでありますが、気がついたら余計な回り道をしていたなんてことがあるので、そういった回り道が嫌いな諸兄にはぜひとも確認していただきたい事案を提言していきたいと思います。

記事の対象者

違いがわからない全てのDJ

音楽の保存形式とか全くこだわりがないけど、なんか音悪くない?とか言われた人は是非読んでほしい。

あと、前段としてuinyan.comのこの記事は絶対読むべし。

今回はこの発展形の記事を書いていきます。

結論

おすすめはmp3 320kbpsもしくは同等ビットレートによるAACでの保管です。

将来的にRemix作成や首都圏の大箱でデビューを検討している場合はこれと併せてAIFF、flac、losslessのいずれか1つを作成しておくと良いでしょう。

高音質とは

オーディオフォーマットの話をする前にそもそもの高音質の定義についてお話をします。

わかりやすいように今回は身近な飲み物、牛乳に例えて説明します。

世界で一番高い音質を持っているのは理論上、アナログ音源になります。

アナログが理論上最強の理由はお寿司で例えて説明した記事を上げているので、暇で暇で仕方ないなら御覧じていただければと思います。

牛乳で例えると牧場で牛を育て乳を絞り、搾りたての生乳を飲むのが鮮度が一番高いから栄養価が一番高かろうという理屈です。

私達が搾りたての生乳が飲みやすいか飲みにくいかはこの際関係のない話です。

同じように高音質とはミュージシャンによる生演奏をリアルタイムで聞くことです。

ミュージシャンの演奏や音作りが上手か下手くそは全く関係のない話です。

しかしながら、我々は牛乳を飲むために牛を育てるという営みは普段しないし、車の中で音楽が聞きたいからと言ってONE OK ROCKのメンバーを演奏機材ごと車に乗せている人はいないと思います。

従って、牛乳の場合は出荷できるように殺菌とパック詰めを行うし、ミュージシャンはCDを作ったり、音源データを販売して、もっと手軽な形で人々の手に触れられるようにパッケージングをしているわけですね。

mp3とwavと牛乳の話

と、言うことでmp3とwavとはなんだ!?の本題。

前述の通り、我々は科学技術を使って音声を録音してデータ化してコピーしたもの、即ち音源を購入して再生をしていると思いますし、牛乳だってスーパーで買っていると思います。

ただし、パッケージングにも種類があって同じ牛乳でも値段の高い低いがあるし、ミュージシャンの音源データも販売サイトや販売ファイルの形式で同じ曲でも値段の高い低いがあるわけです。

価格差が出てくる原因としては殺菌の方法についても牛乳の旨味を殺さないためにゆっくりやる方法と質より量として超高温で瞬間的に殺菌しパックに詰める方法もあります。

音源データも同じです。録音で得られたデジタルデータは圧縮展開する技術をコーデックといいます。

コーデックも牛乳の殺菌方法と同じ様に種類があって、質を重視するのか、質より量なのか、ということで様々なコーデックが存在し、そのコーデックに対応した入れ物をファイルフォーマット、あるいはファイル形式とも呼ばれるものになっています。

このファイルフォーマット代表選手にmp3やwavというものがあるわけです。

つまり巷でよく聞くmp3やWAVとは音声用のファイルフォーマットの事を指しています。

ファイルフォーマットの質と量

さて、ここからが本題。

mp3やwavがオーディオファイル用のファイルフォーマットであることは理解していただけたと思います。

先程の牛乳の話で旨味を殺さないためにじっくり殺菌する製法と質より量を取るために超高温で瞬間的に殺菌する製法があると話をしました。

オーディオファイルフォーマットもアバウトですがそんな感じで大きく別れており、質を取るか量をとるかでファイルフォーマットが変わってきます。

  • 可逆圧縮…圧縮率は低いけど、WAVやAIFFと言った非圧縮音源に戻せる次世代データ
  • 非可逆圧縮…人間の可聴域に合わない音をガッツリ削っていってお手軽さを重視したデータ
  • 非圧縮音源…そしてそもそも圧縮をしておらず総量が限りなく生演奏に近い音源データ

CDから取り込んだ際の音質が高い順番で

非圧縮音源>可逆圧縮音源>不可逆圧縮音源

と基本的にはこの順番になっています。

一般的に生活する上でよく見る音楽ファイルフォーマット一覧

というわけで、今回紹介する音楽ファイルフォーマットはこちら

  • 非圧縮音源 (WAV、AIFF)
  • 可逆圧縮音源(Flac、Apple Lossless)
  • 非可逆圧縮音源(mp3、AAC、ATRAC、wma)

非圧縮音源

  • WAV
  • AIFF(おすすめ)

非圧縮音源とは前述した通り、圧縮をかけていない音源です。CDから取り込みを行った際はこのフォーマット群が一番音が良いとされています。

ただし、ファイル容量自体がかなり大きくなるので、リッチな人でないとたくさん持てないのがネックです。

非圧縮音源の代表選手としてWAVとAIFFの2種類のフォーマットがあります。圧縮をかけていない生のデータという事からRAWデータと呼ばれることもありますが、RAWは拡張子のことではないので注意です。

WAV

マイクロソフト主導で開発された非圧縮音源のファイルフォーマット。Windowsで圧縮指定なしでCDをそのまま取り込んだ場合は基本的にはこの方式になる。

AIFF

アップル主導で開発された非圧縮音源のファイルフォーマット。WAVと同等の品質でありながら後発のフォーマットになるので、タグやジャケット画像の埋め込みといった細かい使い勝手がWAVよりも強い。また、Mac以外でも扱えるので今後取り込んでいくならAIFFのほうがおすすめ。

非圧縮音源を牛乳で例えると

牛乳で言うと酪農家の方々が瓶詰めしたのがWAV、ラベルやタグが貼れるようにデザイナーさんが改良した瓶に入っているのがAIFFって感じです。

可逆圧縮音源

  • Flac(おすすめ)
  • Apple lossless

圧縮音源でも、非圧縮音源と同等レベルで音源の再現性を損なわないように作られているフォーマットになります。

一番大きな特徴は後述する非可逆圧縮音源ではできなかったWAVやAIFFといった非圧縮音源に戻せることです。

また、所謂ハイレゾ音源の配信にも使われていることもあり、インターネット配信で手に入れたハイレゾ仕様のFlacを入手することで非圧縮音源よりも高音質なデータを手にれられることができます。

欠点としては現時点では最後発のオーディオファイルフォーマットということで対応できるDJ機材が非常に少ないです。

DJが可逆圧縮音源を用意する意図としては基本的にはRemix用に取り込んだ素材をストレージで保管する時は上記のような可逆圧縮で圧縮をかけ、素材を使うときだけAIFFやWAVに戻す感じだと思います。

Flac

ザイフォ財団というフリーソフトウェアを開発する非営利団体によって制作された音源圧縮フォーマットです。

後述するApple Losslessと比較すると、非圧縮音源への変換時のエラーが少ないことや、サンプリング周波数がLosslessよりも広い事から技術的にはFlacの方が優秀です。

ただし、残念なことにitunesで再生や取り込みのサポートがされていないので、Flacを利用する場合は必然的に別のソフトを使用することになります。

Apple Lossless

Flacのアップルバージョン。flacよりも圧縮率が高いとのことですが、数MBの差を大きいと捉えるか小さい捉えるか。

iTunesでがっつり音源管理していくならApple Losslessになるし、高音質の担保の為に一手間かけてもFlacになるかなって感じです。

人にはFlac勧めてますが現状iTunesの管理でいっぱいいっぱいなので私はロスレス使ってます。

非可逆圧縮を牛乳で例えると…

牛乳で例えるとかなり無理矢理ですが、成分無調整牛乳…濃くて美味しいやつって感じです。

非可逆圧縮音源

一番種類が多いですが、mp3かaacのどちらかでの選択になるでしょう。

  • mp3(おすすめ)
  • AAC(おすすめ)
  • ATRAC
  • wma

mp3 (おすすめその1)

非可逆圧縮音源の最古参フォーマット。
映像系コーデックのmpegから派生しているもので、この技術をたたき台にして様々な非可逆圧縮フォーマットが制作されています。

そのため、後発フォーマットの中では同じビットレートでも削られている音声帯域が広く、新参フォーマットと比較すると音質面で不利です。

しかしながら老舗コーデックということもあり、対応機器数が一番多いので、汎用性が非常に高いことが特徴です。

再生機器を選ばないことから個人的にはおすすめですが、異論は認めます。

AAC(おすすめその2)

mp3をたたき台にしてアップルからリリースされたファイルフォーマットです。

同じビットレート設定のmp3よりも圧縮率が高く、高音質で再生できるのが特徴です。

mp3同様タグ編集やジャケットの埋め込みもできるので、こちらもおすすめ。

ただし、CDJ-400では利用ができないので、小箱でプレイする機会が多い場合は何かしらの対策が必要になるでしょう。

ATRAC

Sonyがウォークマン用に開発したコーデック群。コーデック群と言うのはATRAC自体が時代を経て改良版が出ている上に互換性がないので、ATRACというファイルフォーマットの中にもいろいろな種類が存在しているからです。

DJ機材では再生ができないので、SonicStageやMedia Go等で音源を管理していたビギナーはmp3かAACで再取り込みです…。

wma

windows media audioの略でマイクロソフトから出ているコーデックです。

こちらも使用ライセンス契約などなどの大人の事情からCDJで利用できないです。mp3の半分のビットレートでも同じ程度の音質を担保している結構すごいコーデックなんですけどね。Windows Media PlayerでCDを取り込みしていた大きなお友だちは再取り込みです。がんばりましょう。

非可逆圧縮を牛乳で例えると

ちなみにこちらも牛乳で例えるとかなり無理矢理ですが、mp3やaacと行ったメジャーなコーデックが低脂肪牛乳、マイナーなコーデックは豆乳とか乳飲料とか付加価値をつけてみました、位に思ってください。

どのフォーマットがおすすめか

さて、ここまで非圧縮、可逆圧縮、非可逆圧縮と色々なファイルフォーマットを見てきました。

結論は前述した通り、mp3かAACのどちらか。場合によってはFlacやApple Losslessで取り込んでおいたほうが良いだろうと改めて提言いたします。

非圧縮音源は保持がキツイ

単純にファイル容量の問題ですが、4分30秒程度のシングル単曲で60MBアルバムになると700MB近くまでなります。ストレージがいくら安くなったと言っても増え続ける音源代に加えて、ストレージ代もかさんで来ると厳しいものがあると思いますので、非可逆圧縮のフォーマットはこの際思い切って除外します。

どうしても、非可逆圧縮音源で、ということであればAIFFをおすすめします。

可逆圧縮音源は再生機器の普及が課題

新世代のファイルフォーマットであるFlacやApple Lossless。

対応しているCDJが現状CDJ-2000nxs2、XDJ-1000mk2、CDJ-TOUR1の3機種に限定されているため、可逆圧縮形式で保持するのは2019年の機材の普及状況も踏まえて考えるとベターではないです。

ただし、対応デコーダを利用すればいつでも非圧縮音源に戻せるというメリットがあるので、将来的に大箱のメインでDJをする野望があったり、Remix作成をする予定だけど、ストレージを買い足すのは厳しいと言う場合は運用は非可逆圧縮、保管は可逆圧縮で行うというのも有りでしょう。

デイリーで使う非可逆圧縮は実質2択

さて、一番の解決するべき点。デイリーで扱う非可逆圧縮音源のファイルフォーマットはどれがいいかと言う話。

非可逆圧縮の問題点は前述した通り、可逆圧縮と違って一度エンコードすると元の音質に戻せない点にあります。そのかわり、ファイル容量が圧倒的にフラッシュメモリやSDカードで取り扱うにはちょうどいい位のファイルサイズに収まるためデイリーで使うにはもってこいのフォーマットとなります。

CDJで対応している非可逆圧縮フォーマットはAAC、mp3のどちらかになるので、基本的にはこの2種類でケースバイケースで対応していく事になります。

個人的にはAACをおすすめします。

執筆当初の一時期はmp3推してましたが、よく考えたら現場で初めて遭遇するわけわからんCDJが置いてあることが事前に分かってるなら、私は絶対MIDIコン持ち込むと思います。

まとめ

  • 普段何気なく使っているmp3やwavという単語はオーディオファイルフォーマットのことを指している
  • ファイルフォーマットには非圧縮、可逆圧縮、非可逆圧縮の3種類が存在する
  • 牛乳で言えば非圧縮は生乳、可逆圧縮は成分無調整牛乳、非可逆圧縮は低脂肪牛乳くらいに思っておくとイメージ付きやすいと思う。
  • 高音質とは、牛乳に置き換えると搾りたての生乳に近ければ近いほど良い
  • 飲みやすいか飲みにくいか(音作りが好みに合っているかどうか)は高音質には全く関係ない
  • 非圧縮はAIFF、可逆圧縮はFlac、非可逆圧縮はmp3かAACがそれぞれベターな保存形式であると考える
  • おすすめは可逆圧縮と非可逆圧縮の2つでファイル管理をしておくこと。

こんな感じです。