上級者向け 高音質

お寿司でわかる DJが知るべき 高音質とは アナログ・デジタル編

どうも、アヘバス管理人です。プロ・アマ問わずにDJ、もといミュージシャンとは機材や音にこだわりを持っている人が多いかと思います。そして、大体食い物に関してもそこそこうるさい場合が多いです。

そこで今回は高音質とはどういう事であるか、ということを私たちにとって身近で遠い存在、お寿司に例えて説明していきたいと思います。

この文章の中で願わくば高音質に対する最適解を読者諸兄等が各々で回答を出して頂ければと思ったりします。また、この記事については特に外食産業からのスポンサー供与は受けておりません。

前置き

この話を覚えた所で女の子は口説けないし、人生に役に立つことは殆どないです。

あと、おそらくこれを読んだ人は寿司が食べたくなるはず。私の好きな寿司ネタはつぶ貝です。

記事の対象者

  • 厄介なオーディオオタクに絡まれた経験がある
  • アナログとデジタルが良くわかっていない
  • コスパという単語にめちゃくちゃ敏感

厄介なオーディオオタクに絡まれた経験がある

特にPCDJコントローラーを使っていると遭遇します。

お互いがお互いに中途半端に経験があるだけあって言い返せなくて悔しいみたいなことあると思います。こんなブログを書いている為か現場レベルでマウント取ったり取られたりは私はしょっちゅうあります。

そしてそのたびに「私じゃなくて音屋に聞けよ…」と思います。

アナログとデジタルが良くわかっていない

機材にもアナログミキサー、デジタルミキサー、音源にもアナログ音源、デジタル音源とこの業界はすごくアナログとデジタルと2分割になっている場合が多いです。どちらもそれぞれいいところがあるのでこれを機会にして一緒に勉強できればいいんじゃないでしょうか。

コスパという単語にめちゃくちゃ敏感

コストパフォーマンス、費用対効果の事で略してコスパです。一概にどうと言えないのですが、最低限の投資で可能な限り高い効力を得る事を目的にしている人は一定数いると思います。

例えば、10万円するMacとCPU性能、メモリ、ストレージ容量が一緒のwindows PCが半額の5万円で売られていたとしたらコスパを重視する人は恐らく5万円で同じものを買うでしょう。

オーディオに関しても一緒で、オカルトじみた話(ケーブルはプラチナで、電源は北海道電力のものを供給してもらったほうが音がいい)みたいな四方山話も飛び交う一方で、仮にオカルトが正しかったとして、コスパが一番いい投資とは何か、知りたい人いらっしゃるんじゃないでしょうか。

そんなわけで、今まで泣いたオタクの無念を晴らしつつ、お買い得、という観点から高音質について考えていきましょう。

高音質ってそもそもなんだ?

そもそも論として高音質とは一体何を指しているのか、という所が疑問だと思いますので先に定義をしていきます。

ちょっと前にポストしたオーディオファイルの話。

高音質の頂点とは純粋なミュージシャンの生演奏が一番音がいいと言う話を生乳に例えてしました。

しかし、ミュージシャンは持ち歩けないので、我々はミュージシャンが録音している音源データを聞いているという話でした。

今回はその音源データにも質の概念があるという話。

質が良いというのは巷に飛び交う「なんかきれいに聞こえそうなヘッドホン」とかニ○ニコ動画に上がっている【高音質】で違法にアップロードされている「なんか他の動画よりも気持ちきれいに聞こえているような気がする曲」の事ではありません。

この2つの話題は寿司で例えると盛り付け方がキレイとか、マグロよりもハマチの方が自分の好みとかそう言う「主観的」な話であって、今回この記事では「客観的」に高音質とはなにかを図っていくことにします。

では、改めてここで扱う「高音質」とは何か。

もっと純粋かつ単純な話で、原音に近ければ近いほど高音質です。

原音に近いとはどういう状態かというと、より密度の高い情報量をもったデータであるという事です。

例えばお寿司屋さんで寿司を食べたとしても、Aの店とBの店では以下の違いがあるとします。

  • A 冷凍保存されたもの チューブわさび
  • B 市場で買い付けた食材 本わさび

Bの提供しているお寿司の素材が新鮮で生に近く、風味が豊かなお寿司が楽しめそうですね。

生の素材に近ければ近いほどより良いものですよ、食材そのものの味が豊かでしょう、というものさしで「高音質」かそうかを定義していきます。

デジタル?アナログ?

さて、お腹が空いてきましたが、ここからが本題。

そもそもデジタル、アナログとは何かについて。

これに関しては時計で説明するのが一番わかり易いと思いますので、無理にお寿司を使わずに時計を使って説明します。

アナログもデジタルも量や大きさの表現の仕方のこと指します。

アナログとは連続した量を表す事をアナログといいます。

一秒ずつ時を刻んでいるときも秒針は微妙に動き続けており、1秒と2秒の間の1.11…、1.121…秒をカウントし続けています。そういう意味では非常に正確ですが、観測しているこちらからすると、アバウトな時間表示にしか見えないので、有機的な表現の方法であると言えるでしょう。

一方でデジタルは処理する際に1か0の2進数で計算します。カウントする場合はアナログのように有機的に連続しているわけではなく、1つずつ区切った段階的な大きさを表す方法になります。

なので1秒経つごとに数字が大きくなるというカウントの仕方をしますが、その間の1.11や1.121はカウントされていないわけです。数字は正確に分かるのですが、無機的で容赦がないのがデジタルです。

音源にもデジタル音源とアナログ音源の2種類があります。これらは記録媒体によって異なりますが、

  • デジタル音源… データ音源、データ音源が収録されたCD
  • アナログ音源… レコード、カセットテープ

これらのことを指します。

紹介した媒体を音質が高いモノを媒体順に並べ替えると理論上は以下の通りになります。

生演奏>>>>>>>越えられない壁>>>>アナログレコード>ハイレゾ音源>CD音源や非圧縮音源>>>CDからリッピングした圧縮音源やitunes Store等の配信音源(ファイル形式で序列あり)

アナログとデジタルの関係をお寿司で例えると…

先程の料理の話で冷凍保存か、水揚げ直後の食材かという話をしましたが、冷凍保存がデジタル、市場で買い付けた水揚げ直後の食材がアナログ音源だと思って下さい。

漁船で釣った魚を漁師がその場で捌いて食べる>>>>>>>越えられない壁>>>水揚げ直後の食材>冷凍保存(保存方式やどの程度遠い海から来たかどうかで美味い不味いに差がある)

です。

デジタル音源の欠点から見るアナログの利点 音質の良さ

一般的な高音質のイメージからすると、古き良き時代の空気感を楽しむものであり高音質という印象からは程遠いイメージがありがちなレコードですが、前項で話した通り、理論上原音に近いのは実はレコードになります。

ただ、前項のような不等号の話だけだと恐らくCDよりもレコードの方が音が良い理由がもんにょりとしたまま横たわると思います。

なので、ちゃんと客観的に

  • サンプリングレート
  • ビット深度

この2つの要素を使ってアナログのほうがいい音が出ることを話していきます。

アナログが高音質の理由1 サンプリングレート

レコードは連続した空気の振動、音の流れそのものを記録する事ができますが、デジタル音源では特定の時間に発生した空気の振動を大きさを数値で記録する「標本化(サンプリング)」という作業を行います。

空気の振動をどれだけ細かく「標本化」したかを表す数字の事を「サンプリング周波数」サンプリングレートといいます。単位はHz(ヘルツ)で1秒間に何回数値を記録したかを表しています。

CDの場合は44100hzという事で1秒間に44100回、空気の振動の標本を記録しているわけですが、アナログのように余す所なく書き出しているわけではないので、44100回という凄まじい標本数をとったとしても、44101回目以降の音の成分はないものとして扱います。

逆説的に言えば、レコードでは「標本化」を行わないので、デジタル処理の際に誤差として記録されないような細かい音も記録ができる事から、レコードのほうが理論上は高音質ということになるわけです。

サンプリングレートをお寿司で例えると…

シャリを職人が握るか(アナログ)、寿司ロボットに握ってもらうかの違い(デジタル)です。職人さんは米粒を潰さないようにふんわりと握り、感覚でベストな状態をつかもうとしますが、寿司ロボットは型に押し込んで、整形したものを出しているので、握りの工程は楽になりますが、職人さんには勝てないという理屈です。

余談ですが、我々が大好きなオーディオテクニカは寿司メーカーも作っているそうです。

アナログが高音質の理由2 ビット深度

また、デジタル音源がもう1つ不利な点として、1と0の数字以外のパラメータをデータとして処理する場合はパソコンにわかるように1と0の塊である数値に変換してやらなければいけません。

音を数値に変換する事を量子化といいますが、この量子化も音の信号をどれだけ細かく拾い上げるかの指標をビット深度と言います。

ビット深度が深いほど、デジタル音源の弱さである微妙な音の揺れをより拾い上げる他、音の最小部分と最大部分の差であるダイナミックレンジが広くなり、ノイズが乗りにくくなります。

しかしながら、量しかも細かくしすぎるとデータがとんでもない量になって扱いづらいし、逆に大雑把だと原音から遠くなるというデジタルならではの融通の利かなさからくる欠点があります。

仮にビット深度が上がったとしても、アナログ音源が最初から持っているアドバンテージ、先に説明したサンプリングレートによる音質制限がないことには勝てないので規格を決める段階でこれで十分だというビット深度で見切りをつけられています。

CDでは16bitというビット深度が決められており十分といえば十分ですが、やっぱ時代によっては音が詰まっていなくてのっぺりしている感じは否めないわけです。

ビット深度をお寿司で例えると…

お魚をさばく際に、骨に沿ってきちんと切るか(アナログ)、機械的にブロック状に切っていくか(デジタル)の違いです。

機械は設定次第でブロック状に切っていくだけでなく、骨に沿って切ることもできるわけですが、そうしようとすると、高い機械を購入が必要になるし、仮に導入したとしても職人レベルで丁寧に切ることはできないって感じです。

アナログの欠点から見るデジタルの利点 扱いやすさ

以上の理由からデジタル音源はアナログ音源に確実に勝てない要素があることをお伝えしました。

最高音質(原音の再現性を突き詰めていく)のであれば必然的にアナログでプレイすることになります。

DJという趣味はこだわりが色濃く出る趣味なので、手間をかけて音を楽しむというそういうアプローチもありでしょう。

しかし、これはあくまでも理論上の話

今度は逆にアナログ音源が抱えている欠点からデジタル音源の利点についてお話します。

デジタル音源の利点1 音が劣化しにくい

お寿司で例えると寿司ネタで使うお魚は手間を掛けて保持しないと鮮度が落ち、やがて腐って食べられなくなる問題があると思います。

アナログ音源も同じで自体は盤自体の劣化、空気や電気抵抗による音成分の減衰、ホコリや他の電子機器から発生するノイズ、使用する再生機材のグレードと言った外部要因によって音質は大きく変化します。

ここでいう大きく変化するということは、音が良くなるのではなく、外部要因によっての影響を受けやすいということです。使っている機材やコンディションによっては原音の再現性が損なわれやすいという点から見ると、劣化しやすいと言うことになるわけです。

また、現在プレスしているレコードについても大体DAWで編集したものをレコードでプレスしているわけです。いくらアナログが理論上優れていると言っても、マスター音源がデジタルで処理されている以上アナログで入手するというのはファングッズの要素がどうしても強くなるんじゃないかと思ったりもします。

デジタル音源の利点2 扱いやすい

先程、アナログの説明の際に、冷凍保存か市場で買付けかという話をしましたが、冷凍保存でメリットが有るわけで、扱いやすさは利点として挙げられるべきでしょう。

お寿司で言うとバイト君でも切りやすいお魚でお客さんに満足してもらえるというならそれはウィンウィンかと。 また、工場から今日使うマグロの切り身はこれだけ!って感じで魚のブロックを発注していったほうが魚をそのまま冷蔵庫に保管するよりも場所を取らないし、作業も工程が少なくなる分、スピーディーに提供できると。

デジタル音源にかんしてはもはや言うまでもないのですが、データの場合は名刺カードケース2個分の記録ディスクに何万曲と詰め込むことができるわけです。CDにしてもレコードの1/3の大きさでレコードの倍以上の楽曲を収録することができるということで、場所や媒体自体がコンパクトで非常に扱いやすいです。

またDJ的な面でいうと大きなレコードプレーヤーや読み取り用の針が必要なわけでもないし、特別に練習しなくてもピッチ合わせとかめっちゃ簡単というのもメリットですね。

アヘバス管理人はデジタル派

と、言うことで、アナログの欠点から見てデジタルのいいところを説明してみました。

私個人としては人間の感覚なんてある程度いい加減なものなのだから、細部に拘る高級寿司よりかは、回転寿司でもいいんじゃないか?

もっというと、我々DJなんだから

皿も寿司も回ったほうがいいんじゃないか?

という事で扱いやすいデジタル音源を推していきます。

https://www.youtube.com/watch?v=xXsM4u2uE_w

まとめ

  • 高音質についてお寿司を使って説明した。
  • 生にできるだけ近いことが高音質である
  • 理論上アナログ音源>デジタル音源
  • しかし、現場レベルだとアナログのほうが管理が大変で再生機材によってコンディションが変わりやすい
  • 個人的には皿も寿司も回った方が楽しいと思うのでお手軽デジタル音源を推したいと言う話

です。

お寿司でわかる高音質シリーズは他にも書きたい事があるので、上手くまとまりそうならもう1~2個くらい書きます。ご覧いただいてありがとうございました。

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