上級者向け

指導者向け カットインは一番最初に教えたほうがいい

どうも、アへバス管理人です。

今回は以前ポストしたクロスフェーダーカットインの指導者向け内容です。

DJらしい事を、と思って割とミックスから教えようとしてた時期もあったんですが、冷静に考えてそれは良くなかったよなぁという反省が込められているので、アウトプットしておきます。

カットインを最初に覚えさせる理由

DJミックスというくらいだから最初に覚えるのはミックスなんじゃねぇの?と思う方が大半だと思われます。

どういう行為をするか想像しやすい上に、DJ・クラブ文化が題材になったコンテンツに何かしら触れているものには大体ついているが故に「ミックス」は入門者初心者にも非常に馴染みのある単語です。

一方、今回題材に取り上げる「カットイン」は恐らく単語を知ってから動画や資料を検索したり人から説明を受けたりしないと、全く想像がつかんレベルのドマイナー単語です。

とはいえ、入門者がDJを覚えるにあたって一番最初に覚えなくてはならないテクニックであると考えております。

アマチュアの中でも指導をする立場になったとしたら、耳馴染みの薄い「カットイン」がどういう動作かを自身の中で噛み砕いて説明できると良いでしょう。

そうする理由は以下の3つです。

  1. DJ行為の殆どにフェーダーの操作がある以上、ミックスよりも優先度が高い
  2. 「ミックス」と比較して操作する箇所が圧倒的に少ない=教えやすい
  3. やり方さえ知っていればどんな人でもDJにできる

DJ行為の殆どにフェーダーの操作がある以上、ミックスよりも優先度が高い

DJ行為の殆ど全てにフェーダー操作がある以上、フェーダーの動きに対応した動作のシミュレーションは避けて通れないです。

フェーダーの動きに人間を対応させていく必要があるならフェーダーの動きで曲を切り替えられるカットインの方がミックスよりも優先度が高い技能なので、先に覚えさせておいた方が後々の指導を考えると楽だと思います。

指導者の方が自身のDJプレイ中にカットインないし、クロスフェーダーは使わないパターンも十分あると思いますが、とはいえ、クロスフェーダーが有効な状態で、どちらか一方に切ったままミックスはしないでしょう。

勿論、フェーダーの特性を理解した上で、内部設定やミキサー設定を弄ったりするかも知れませんが、それらは全てフェーダーの挙動を理解して、メリットデメリットを勘案した上で、経験者が意図的にやるわけです。

意図も意味も分からないまま現場に放り込む事は不親切だと思いますので、まずは事象を体感してもらう事からスタートしましょう。

「ミックス」と比較して操作する箇所が圧倒的に少ない=教えやすい

「ミックス」の際にはEQノブを操作しますが、「カットイン」の場合は音質調整以外の用途でEQノブの操作の必要がないのでめっちゃ楽です。

最低で2ボタン+1フェーダー。最小手数は2つ。

「再生ボタンを押す」のと「フェーダーを反対側のプレーヤーに移動させる(フェーダーを開ける)」だけです。

機材操作に慣れたら慣れたで出音を揃える事が難しい事から中級者くらいからプレイに取り入れることをためらうようになりますが、DJ機材の慣れを目的にするのであれば、手数の少ないものから覚えていくほうが覚えやすいのではないかと感じます。

また、指導者サイドの都合ですが、学習コストがすごく低いです。

ミックスを教えようとすると、BPM(の概念や合わせ方)やビートマッチング、加えてヘッドホンの操作、EQノブ、縦フェーダーetc…要するに全部教えないといけないわけで、1回の指導で教えようとすると指導者はめっちゃくちゃ大変だし、教わる方も大変な学習コストがかかる作業をすることになります。

ちなみに、D4DJの先行配信1話でDJ操作を教えるシーンが有りましたが、ダンスや楽器の経験はない素人さんにあの感じの説明する事はできません。

BPM、小節、って音楽経験ない人にとって全部専門用語なので、全部も多分「なんか一杯説明されて凄かったなぁ」という疲労感で一杯一杯になると思います。

(とは言えガチのDJ育成を始めだしたらストーリーテリングとしてはNGだし、あれは優秀なブレーンの演出なので、それはそれ、これはこれということで)

初手で大切なのは、実になる事を何か1つ持って帰ってもらうことだと思っているので、素人さんが相手ならまずは一番簡単な技を1個だけ持って帰ってもらいましょう。

カットインさえ知っていればどんな人でもDJにできる

学習コストを抑えるという点でもう1つ補足なんですが、多分教えてくださいって言われるような人あるあるだと思うんですが、教える人って選べないんですよね。

理想は師弟関係ですよね。長期的に面倒を見て長い時間をかけて技を磨きあっていくみたいな感じを想像していただいて良いと思います。

ただ、人に群がられると、時々本当に変な話なのですが、「急にDJをやることになったので使い方教えて下さい」みたいなオーダーが出てくるんですよ。

私はネガティブな人間なので、

急にDJをやることになったので=時間はかけられない

使い方を教えてください=でも、ミスしたらおめーのせいだからな。あーあ。

だと思っています。そういう無茶なお願いをする人が前述したような理想の師弟関係みたいになるかというとまぁ100%ないです。

そういう人でもDJができるようにするという点でカットインは素晴らしい。志が高かろうと低かろうとDJにできますから。

 

Bebopのサントラをカットイン練習で使う理由

選んだ理由は以下の2点です。

  • 調達コストが低い
  • 音量調整を意識させない
調達コストが低い

怒られるかもしれないんですけど、図書館に行って普通に借りられるくらいドメジャー音源なので調達コストが低いです。

生徒にとってもメリットで打ち出しましたが、先生にとってもメリットです。

本当は好きな盤の好きな曲でカットイン教えてもらったら全然いいんですが、ぴったりなものを思いつかないと言う事であればこちらを参考にしてくださいってだけです。

音量調整を意識させない

大体おおよそのDJは違うアーティストの楽曲同士をミックスないし、カットインするわけですが、そうなると年代(技術)や音楽の方向性等で音量差が出てくるわけですね。

カットインを実際の現場で使用する際に大きな障害となって立ちはだかるこの音量調整の問題ですが、これらを解消する手立てを講じる事は選曲術(年代の近い曲どうしを隣接する曲で埋めて音量差をグラデーションで目立たなくさせるとか、Remixを発掘してくるとか)だったり、editスキルだったり、EQテクニックだったりでカバーをすることになるので、カットインを覚えるという事と関係はしてくるものの、全然違うベクトルの作業になるわけです。

とは言え、別の作業だから気にしなくていいよ、と伝えたとして気になるものは気になるわけです。

例えば10代の子にDJ教えるぞってなった時、ストリーミング音源でノーマライズされてどの曲を聴いても同じ音量感覚である事が自然やと思っている素人さんに絶対的な音の密度が違う曲同士繋げることになったら、大なり小なり違和感を感じることでしょう。

別に今考えなくていいのに。

多分教える、教わるという関係性が発生した時に限られた時間で伝えなきゃいけないので、別に今考えなくていいことに気を取られてしまうのは教える側の都合としても本意ではないと思います。

(もっとも、そこを埋めるのがコミュニケーションだ、コーチングだ!みたいな至極ごもっともな意見もあると思いますが、リソースは有限なので、ここに関してはあんまり変なことは言ってないと思います)

カットインの手法を伝える事に集中するためにも、同じアルバムから二曲引っ張ってくるやり方は理にかなっているんじゃなかろうかと考えます。

おわりに

DJをやることと人にDJを教える事は全然別のスキルなので、ものすごく大変です。

ただ、教えてくださいってきてしまった人がいた以上、その人の期待に応えてあげたいっていうのはシンプルな気持ちだと思います。

なので、私たちもシンプルに1個ずつ、ノウハウを共有していけばいいのではないかな、というお話でした。

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