どうも、アヘバス管理人です。
待望の新4chミキサーdjm-a9のリリース情報を見て感じた事について書いていきます。
900nxs2からのアップデートポイント
- AD/DAコンバーターが32bitに
- USBポートがtype-Bとtype-cの2系統に
- プレイアビリティの向上
- ヘッドホン端子が2端子×2系統
- bluetooth&wi-fi搭載
- マイクFXとファンタム搭載
- サイズが巨大化
- 価格は50000円プラス $2399→$2799
AD/DAコンバーターが32bitに
今回の1番の目玉と感じているポイント。ESS製の32bitAD/DAコンバーターが搭載されております。
900nxs2ではDAコンバーターは24bitのものが搭載されていましたので、アナログオーディオがDJM-V10と同様の解像度の音声で楽しむことができるようになりました。
以前ポストした4chミキサーの記事で書きましたが、オーディオ再生能力に関しては実は750mk2に後塵を拝していると言うのが900nxs2を購入しない大きな理由でしたが、これによって払拭されたと言ってもいいでしょう。
ESSはアメリカの半導体メーカーです。MOTUやRMEといった音質を売りにしたオーディオIFにも採用されており、高い人気があるブランドなので安心感がありますね。
USBポートがtype-Bとtype-cの2系統に
オーディオIFとして使用する際の接続用のUSBポートがtype-bとtype-cの二段構えになりました。
正直な感想はどっちつかずな判断だと感じます。メンテや搭載コストのこと考えれば絶対的に端子が少ない方がやりやすいので、本来であればtype-c(あるいはtype-b)に全て切り替わるべきです。
しかし、type-cに舵を切ると比較的新めのMacユーザーを切り捨てる事になり、type-bにすると、レガシー(笑)というそしりを受けてしまうわけで、多分どちらにも振り切れなかったんだろう。と感じました。
プレイアビリティの向上
筐体サイズがかなり大きくなった関係でレイアウトに余裕が出ました。その結果、プレイアビリティが向上しました。具体的には3band EQがゆとりを持ったレイアウトになった事、加えてFXのロータリーセレクターがボタン式になった事、更にcolor fxにcenter lock機能が搭載された事で酔っ払いすぎてエフェクトがかかったままミックスする事故が防ぎやすくなりました。
筐体サイズの巨大化についてはさておき、細かいアップデートは好印象を覚えます。
ヘッドホン端子が2×2系統
Cueボタンを2つずつ搭載し、ヘッドホン端子が2×2系統(フォーン+3.5mmステレオミニ)となってより、B2Bがやりやすくなりました。
B2B自体が高度なプレイングなので、難易度が変わるわけではありません。しかし、このアップデート実装で少なくとも拍は取りやすくなったので、大事故みたいなのは少なくなるのかなぁと感じます。
デメリットとしては2系統の端子とCUEボタンを実装するので、メンテコストが増える点です。ただし、前述のUSBとは異なり別々のレイアウトになっており、一方死んでいても一方が生きていればメンテを伸ばせるのであれば、一概に良い悪いを断じることはできないかなという印象です。
少なくともホームユースで考えれば不要な機能なので個人的にはネガティブですが、据え置き機材としてはお店もユーザーもうれしいでしょう。
bluetooth&wi-fi搭載
bluetoothでの接続ができるようになった事で、タブレットやスマホを使ってミキサーから音が出るようになりました。転換用の音やアクシデントが起きた際のリカバリーに使う事ができるので、安心かつ手軽にDJに取り組む事ができます。
転換作業時にUSBメモリでバイパスする作業をミキサースマホのやり取りに置き換えることでCDJを介する必要性がなくなったわけですから、HIDを使用するユーザーにとっては大変うれしいですね。
wi-fiは専用アプリstagebandの接続用ですね。
リモートで波形が見れたり、デバイスの状態管理が可能です。一々再起動して出さなければならなかったユーティリティが手元のアプリで変更できるのは設置場所や音響設定を都度都度で変えなければならない小箱〜中箱にとっても嬉しい機能でしょう。
マイクFX&ファンタム電源搭載
900nxs2からの強化ポイントの1つ
マイク向けの独立したエフェクターとコンデンサマイク用のファンタム電源が搭載されました。
FXはともかくとして、汗、湿気、唾に弱いコンデンサマイクを使用する為のファンタム電源搭載はあんまりクラブっぽくないなぁと言う印象です。
アイデア次第の使い方ではあると思いますが、合理的では無い機能を搭載して価格や後述のサイズに乗っかってくるのはあまり良い印象ではありません。
サイズが巨大化
900nxs2の幅が333mm。a9が407mmと言う事で左右に3cmずつアップしました。
レイアウトにゆとりができた事でプレイアビリティが向上した反面、設置に関する制約が強くなりました。
価格が50000円アップ
原材料費高騰や為替の影響で全ての物品が値上げの中、40万円切る価格で出してきました。
予想よりも価格の上昇幅が少ないので、求めているものがドンピシャな人にとってはお買い得プライスでしょう。
総評 いよいよホームユースには収まらなくなってきた
V10というフラッグシップモデルが存在する以上、V10からの引き算を想像しておりました。
結果としてはプロユースでの利便性、箱貸しをする事業者にとってどのような機能があれば訴求力が生まれるかと言う観点から生まれてるプロダクトであると言う印象です。
V10がDJを楽器演奏やパフォーマンスとしてのプレイアビリティに振った機種、A9は簡易的なPAミキサーを兼ねたゼネラリスト的な位置付けになっていると言っていいでしょう。
ipadを用いたモニタリング機能が使う為には最低10万円のデジタルミキサーが必要ですし、ファンタム電源に関してもDJからライブやトークイベントへとシームレスに移行できるようになる為、昨今のような配信イベント併設やトークショー、ボーカルショーケースなんかを挟むイベントなんかでは重宝されることになるでしょう。
スピーカーも2〜4発で事足りるような小箱なら多分これ一台で本格的なサウンドになる、と言う点では物凄く画期的です。
900nxs2や750mk2でもその傾向は見られていましたが、もっとその辺りをブラッシュアップしてきたと言う点で前項でバーゲンプライスだと言う説明が成り立つわけです。
一方で裏を返せばホームユースにはいよいよ収まらなくなってきたと言えます。
wi-fi機能を使ったモニタリング機能なんかはホームユースでは持て余す物になりますし、コンデンサーマイク用のファンタム電源も多分このクラスの機材を購入検討しようと考えてる人は大体オーディオIF持ってるのでどっちかが腐ります。
また、筐体が大型になった事で、設置や可搬性が低くなった事、type-b、type-cの両対応によるメンテコストの上昇を考えると、いっそ振り切ってV10を検討した方がまだいいんじゃないかとすら思えてきます。
向いている人と向いていない人
と、いう事でスペック表から見てDJM-A9を購入して向いている人と向いていない人について所感を述べていきたいと思います。
向いている人
- 使用は専ら室内で野外に持ち込まない人
- DJイベントだけではなく配信イベントやショーケースやミニライブを行う人
- CDJ、DVS両方使っている人
- HIDユーザーがミキサーを使う機会が多い
- 箱のオーナーや業界人
- ある程度ほかの地域で出演する機会が多い人
向いていない人
- 野外に持ち出す機会が多い人
- 予算に余裕がない人
- ブースが狭い所に置こうとしている
- DJパーティーしかしない
- 機材に詳しくない
こんな感じでしょうか。
おわりに
プロ向け機材を個人所有しようとする方がまぁまぁおかしいので、私の視点って大方全ての人にとって参考にならない記事になったかと思います。
繰り返しになりますがコンパクトでホームユース向けの4chミキサーの需要があるかと言うとやっぱり限りなくニッチであり、反対方向にかじを切ったPioneerのプロダクトマネジメントはより大きなマーケットニーズを的確に捉えていると感じています。
40万円切っているといっても、プレイヤーとのフルセットでの運用が前提である以上、金額も金額ですし、ホームユースはおとなしくオールインワンコントローラーを買ってくれよな!というメッセージであり、素直に従うべきなのかもしれません。
ただ、そうなったらなったでXDJ-ZXとかOPUS-QUADってホームパーティーの醍醐味であるB2Bや転換を微妙に疎かにしている部分を感じてしまってもどかしさを感じたりするわけですね。
とりあえず、私が欲しい900nxs2の後継機が出るまで待つか、25万くらいの中古900nxs2が手に入ったらそれでしばらく遊んでいくかって感じですね。25万で900nxs2買いましたけどね。