どうも、アヘバス管理人です。
ひょんな事からdjm-900nxs2オーナーになりましたので、機材チョイスの一助になるような備忘録を残していこうと思います。
前回記事ではざっくばらんに感想を書いていますが、とは言え選んで購入したということは魅力的であったということです。
何故今になっても古いフラッグシップの方が魅力的なのか。地方オーガナイザーの視点から解説していきたいと思います。
結論:割高感はあるが、A9よりも割安で750mk2よりも汎用性が高いから選ぶ
まず抑えておくべきポイントとしてdjm-900nxs2の価格は2016年時点での発売当時の価格は27万円でした。
最終的に33万円まで値上がりし、a9の38万5000円という価格がバーゲンプライスに見える数字上のマジックが働いています。
その為現状ではプライスが固定されているフリマアプリは割高な傾向にあります。
現役時に33万円まで値上がりしたことがプラスに働き28〜30万前後で推移しています。
また、最安値を狙えるヤフオクの相場では24〜25万円。
この金額内でおさめればベストを尽くしたと言えるでしょう。
この事実を踏まえた上で、djm-900nxs2を中古品で購入する際はどんなに状態が良くてもどんなに年式が新しくても現状の相場感はセミプレミア価格での入手になる事を抑えておくべきでしょう。
しかしながら、40万円近いA9よりや、より安価な4chミキサー、750mk2に対して存在する明確なアドバンテージを鑑みると多少の割高感があっても今選ぶべき理由はあると考えます。
ということで、750mk2やA9といった現行機種よりも優れている部分について、解説していきたいと思います。
750mk2との差異でどの機能が妥協できないかを思索
ホームユースモデルとして今もなおサポートが継続されているDJM-750mk2と900nxs2を比較して750mk2にするか否か意思決定のシミュレーションをしていきます。
・750mk2と比較して優れている部分
- 扱えるFXが増える
- USB-B端子が2個使える
- pro limkが使える
- Serato DVS Ready/Traktor Pro3に対応
- CDJと光接続が可能
- サンプリングレートとダイナミックレンジが高い
・750mk2と比較して劣っている部分
- A/Dコンバータが24bitに対して750mk2は32bit(理論上バイナルの音源をより原音に近い音で再生できる)
- Hardware Unlocked非対応(ただし、他ソフトウェアはサポート対象外)
- 重い。特に重量に関しては1.4kgのアドバンテージ
以上をまとめると、
- バイナルの音質をより優先する
- Rekordboxをメインで使っており、DVS環境もSeratoに変えたりしない。仲間もRekordboxを使っている人間しかおらず、外部ゲストを呼んだりしない
- 絶対的に軽くないとダメ
と、言う方は750mk2を選ぶべきです。
しかし私は本分はアニソンDJかつゴリゴリのデジタルDJなので、バイナルの音質に関しては妥協できます。しかし、USB-B2口の転換の容易さと他社製が使えるソフトウェアサポート、光コアキシャルを利用したCDJ接続の手軽さの面で750mk2には移行できないという結論です。
djm-a9のメリットを洗い出してみる
750mk2との差異で900nxs2の優位性の捉え方を共有したところで比較検討候補のdjm-a9のメリットを洗い出します。
djm-a9はリリースしたてのミキサーなので、基本的には新品を購入していくことになります。価格は38万5000円
DJM-900NXS2と比較して優位になる部分は以下の通り
- 音質(A/D D/Aコンバータともに32bit処理)
- hardware unlocked対応(オーディオデバイスをa9に指定すれば、古いCDJもHIDで使えるはず。要検証)
- colorFXのセンターロック機能
- wi-fiを用いたstageband機能
- bluetooth接続
- usb-c対応
- ロック機能つきの3ピン電源ケーブル
- よりリニアなEQカーブ曲線
- 追加されたbeatFX
- 次世代のmaglevフェーダー
これらの機能に900nxs2の流通相場25万円から差し引いた13万5000円の差額を支払えるかどうかが肝になるのかなぁということを思索してきます。
なお、以前書いたdjm-a9の所感ログに各部位についての記載があるので詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。
djm-900nxs2の方がa9よりも優れている点
リンク先記事を読んでもらった前提で話していきますが、DJM-A9と比較してDJM-900nxs2が優れている部分について列挙します。
- traktor pro3/rekordbox5に対応している
- 運搬と設置の安定性
- トラスコの折りたたみコンテナが使える
- 部品点数の少なさ
traktor pro3/rekordbox5に対応している
最大の理由であり、1番ポジティブなテーマ
a9の場合はまだtraktor pro3に正式対応しておりません。
フラッグシップのV10では動作対応しているのでこれも時間の問題ではありますが、互換性を考えるとまだ900nxs2に軍配が上がります。
また、肌感覚としてrekordbox5ユーザーも一定数いる印象。
地方にやってくるDJなら恐らくrekordbox6のcore plan契約、もしくはXP2等のhardware unlockedで対応する事はできますが、活躍の場が広がらないDJがソフトウェアや機材に投資をするかといえばアップデートが喫緊の課題にならない事情もあると思います。
traktorに関してはDVS機能の面でアドバンテージ、rekordboxに関してはHIDの3本差しでの運用形態がある以上、互換性を捨ててまでa9オーナーになるメリットがあるかどうかを考慮する必要があるでしょう。
運搬と設置の安定性
持ち込み機材を運用するのであれば、必ず運搬手段と設置場所を確保する必要があるわけです。
運搬に関しては乗用車を使えば問題なく解決できますが、問題は設置。
比較的小さいお店に持ち込みをすることが多いのですが、縦横の寸法が大きくなった事で物理的な制限が発生します。
機材はその機能を満たすのであれば小さければ小さいほど、軽ければ軽いほど良いと私は考えています。そう言う意味では900nxs2に軍配が上がるでしょう。
DJミキサーにおいては、レイアウトにゆとりのある大きいa9の方がプレイアビリティが優れていることは自明の理ですが、設置性とトレードするにはちょっと分が悪い印象があります。
従って、a9は自分の運用方法に向いていない大きさだなと感じました。
トラスコ中山の折りたたみコンテナが使える
cdj-2000nxs、djm-900nxsの運搬に使っているトラスコ中山の折りたたみコンテナがそのまま使用できます。
専用ケース程の信頼性はありませんが、少なくとも運搬時においてはスタック可能で軽自動車も安定して積み込める&使用しない時はコンパクトに保管ができると言う貧乏人にとっては非常にありがたいケースです。
a9の寸法では絶対に入らないですが、900nxs2ならギリギリ入ります。
繰り返しにはなりますが、持ち込み機材を運用するのであれば、必ず運搬と設置手段を確保する必要がある以上、ケースの買い替えが必要ない事、Decksaverと併用でケーブルやスタンドと言った諸物品を折りコンに放り込んで運搬できる点でプラスポイントになるかと思います。
部品点数の少なさ
wi-fi連携のstageband用のアンテナ、USB-B、Cの2列レイアウト、ファンタム電源やボーカルFX、センターロック機能は確かに魅力的ではあります。しかしながら部品点数が多くなり、むしろ、気を使う部分のほうがデカいというか純然たるデメリットとして部品点数が多くなりメンテナンスコストの増大につながります。
延長保証等でフォローする体制はありますが、持ち込み機材はポイント毎でしか使用しないので、どちらかと言えば故障リスクを回避する為にあえて部品点数が少ないものをチョイスする方がより経済的であると感じます。
おわりに
と、言う事で、差額の13万5000円を足して補えるほどの加点要素にはならないという点についてダラダラと話してきまして、結論としては地方オーガナイザーはa9よりも900nxs2を購入した方が良いということになります。
転換の自由度をある程度担保したまま、Serato/Traktor/rekordbox5の互換性があること、可搬性と設置に融通が効くというメリットは唯一無二のバリューを提供しており、A9よりも優れている点であると言えるでしょう。
これを言うと身も蓋もないのですが、rekordbox 5で動くかどうかは今後どんなに新しいハードウェアがどんな革新的な機能を持っていたとしても代替ができない機能になります。
そして、rekordbox5ユーザーが6や7にアップデートするまでの間この問題は横たわり続けるわけで、このミスマッチを解決するのはスポットで機材を出動させる私のような個人勢の男気ではなく、地域や環境の問題です。
DJパーティーをオーガナイザーが普及させて、動員やユーザー層を増やして活気付く事がないと、エンタメ産業のみなさんがA9やALL IN ONEと言った設備を導入しない、そしてそういう外圧がかからないことにはソフトウェアのアップデートも生まれないわけです。
rekorbox5もサポート終了からもうすぐ1年経とうとしますし、こちらのポストで提言した6、あるいは先月にリリースされた7に移行するべきであると言う個人の意見は変わりません。しかしながら、rekordbox5を使い続けているDJを放っておいてどうにかなるほど、地方には人材が有り余っていないと言うのもまたひとつの現実です。
個人の主張からは真逆の発想の意思決定となってしまいますが、周りDJの全員が全員マネタイズやセルフプロデュースの研鑽をしているわけではない、言葉を選ばずに言えば怠け者でもPCDJで楽しくやれる用意をする方法を模索するのがオーガナイザーの役目であると思っています。
ライトユーザーを増やすために、一人でも多くのDJを名乗る人間を排除せずにできる限り受け入れていく、そのためにあえて旧機種である900nxs2を選ぶ、そういう意思決定があってもよいのではないかと言うことでこの記事の結びといたします。